日本が一夫多妻制だった平安時代「恋文を父親が代筆」「女はよそに通う男を待ち続け…」 貴族たちの驚きの恋愛観

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イメージ(写真:しまじろう / PIXTA)
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今回は、「一度読んだら絶対に忘れない古文の教科書」を上梓した、東大合格者を多く輩出する名門西大和学園で教鞭を執る辻孝宗先生が古文の世界の恋愛観にについて紹介します。

みなさんは、昔の恋愛と現代の恋愛、どのような違いがあるか知っていますか? 私は中高生に古文を教えていますが、その時に多くの学生が躓いてしまうのが、この「恋愛観」の違いです。今と昔では、恋愛の感覚がまるっきり違うのです。

古文の恋愛は身分・教養・香りが重要

例えば、現代には「一目惚れ」という言葉がありますね。相手の優しさやまじめさなどは、まだ分かっていません。それなのに「一目惚れ」をしてしまう、ということは、「顔」を一目見て、「好みだ!」と考えるという話になります。現代の恋のスタートは、内面ではなく、外見が多いということです。

それに対して、古文の世界のことを考えてみましょう。

当時の恋愛の相手に求めるものとは何だったのか。それは、家柄・身分が一番大きい要素だと言われています。身分制度がかなり強い古文の世界においては、家柄や身分が第一優先。そしてそれを示すためのものとして、「文字や和歌のうまさ」「音楽や和歌に対する教養」などが必要不可欠な要素となります。

ちなみに、現代と少し違うものとして、「香り」の要素もあります。当時毎日お風呂に入るという習慣がなかったことからも、貴族が自らの身だしなみとして調香した香を衣に焚きしめる文化があり、高貴な人物ほど上品な香りを漂わせていたのです。

「その人の香がただならぬものであった」などと描写されることで、その人物の身分や格が読み手に伝わるようになっています。そして、その香りも恋愛においてとても大切な判断基準となったのです。顔は二の次で、それよりも教養や香りが重視される価値観だったのだと考えられます。

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