「このサイズ、オンラインならあるんですが…」は死語に? ユニクロ並みの購買体験を日本全国にもたらすかもしれない《買い物革命》の震源地

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ユニファイドコマースは欧米ではすでに一般化しているが、日本での普及は遅れていた。理由はいくつかある。

1つは、システム統合には数千万円から数億円の投資が必要で、大企業の専売特許だったからだ。また、既存のPOSシステムとECシステムは別々のベンダーが提供していることが多く、統合には技術的な困難が伴う。

日本での普及を阻む“組織文化の壁”

さらに、店舗スタッフの評価が店舗売り上げのみにひもづく日本特有の組織文化も、統合サービスの活用を阻んでいる。「アイルランドでは、店舗からオンラインへの誘導が当たり前。日本では、店舗スタッフがオンラインに誘導したがらない」と、ヘフェルナン氏は指摘する。

海外では「利用客がどこで買っても、接客した店員に一定の評価が付く」という仕組みが一般的だが、日本では店舗の売り上げのみが評価対象となることが多い。この慣習により、技術があっても活用されない可能性がある。

Tap to Phone
Stripe Terminalに含まれるSDKを使えば、店舗のiPhoneを非接触決済の端末として利用できる「Tap to Phone」にも対応できる(写真:筆者撮影)

また、プラットフォームへの依存度が高まることで、手数料の値上げやサービス停止時の影響、顧客データの集中によるプライバシーとセキュリティーの課題も生じかねない。

「このサイズ、オンラインならあるんですが……」という店員の言葉が、さまざまな店舗で過去のものになる日は近づいている。技術はすでに存在する。あとは、それをどう活用し、日本の文化や慣習と調和させるかが試されている。

斎藤 健二 金融・Fintechジャーナリスト

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さいとう けんじ / Kenji Saitoh

2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社で複数媒体を創刊、編集長を務める。その後メディア事業担当の役員としてビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わった。2023年に独立。Xアカウントは@3itokenji

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