「このサイズ、オンラインならあるんですが…」は死語に? ユニクロ並みの購買体験を日本全国にもたらすかもしれない《買い物革命》の震源地
小売業界の進化は、第1段階の「マルチチャネル」から始まった。複数の販売チャネルを持つが、それぞれが独立して運営される。
次の「オムニチャネル」では、複数のチャネル間で在庫情報を共有し、店舗で注文してオンラインから配送するといった連携が可能になった。しかし、システムは別々で、データの同期に時差が生じる問題があった。
「ユニファイドコマース」は第3段階である。オムニチャネルが複数のシステムを「つなぐ」発想だったのに対し、ユニファイドコマースは最初から「1つ」のシステムですべてを管理する。
ヘフェルナン氏は母国アイルランドでの体験を語る。「コロナ禍で家から数キロメートル以上離れたら警察に止められた。その厳しい外出制限が新しい買い物体験を生んだ」。その当時から欧州では「クリック・アンド・コレクト」が当たり前になった。オンラインで注文し、1時間後に店舗で受け取ることができる。
決済が変える「ユニファイドコマース」の本質
決済が統合のカギとなる理由は、決済がすべての購買行動の終着点だからだ。店舗でもオンラインでも、最後は必ず決済が発生する。この決済データを軸にすれば、利用客のすべての購買行動を一元的に把握できる。
ストライプ端末で決済した利用客の92%は、過去にもストライプ端末を使った決済の経験がある。つまり、利用客がストライプ端末の導入店舗で買い物をするたびに購買データが蓄積され、利用客の購買パターンを店舗横断的に把握できる。いつ、どこで、何を買ったか。この情報により、利用客1人ひとりに最適な提案が可能になるわけだ。

ストライプの参入により、中小企業でも1万円台の端末と月額利用料で、ユニクロと同じような顧客体験を提供できる環境が整いつつある。「今後2〜3年で、アパレルや小売り全般への拡大が予測される。アメリカではPOSベンダーとの連携が進んでいる。日本もそれに追随していく」と、ヘフェルナン氏は語る。
決済サービス大手のSquare(スクエア)はすでに同様のサービスを提供しており、楽天グループも決済を軸にした統合プラットフォームを構築中だ。PayPayも加盟店向けのツールを拡充している。競争激化により、サービスの向上と価格の低下が進み、中小企業にとって導入しやすい環境が整いつつある。
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