「工場萌え」と「モーターショー」の意外な接点

トヨタ「KIKAI」に見る、クルマの未来とは?

サスペンションアームもむき出しのトヨタ「KIKAI」(東京モーターショーでの出展の様子はこちらの動画をご覧ください)。
クルマと社会の交差点にある「クルマ文化」にストップかゴーの判定を下す好評連載。今回のテーマは、まもなく始まる東京モーターショー。エコロジーや安全など、クルマをとりまく環境が変化するなか、これからのクルマはどうなるか。

 

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

「クルマは乗り物である前に、人が生み出した機械。その魅力を掘り下げました」──。

クルマ好きにとっては当たり前なはずだけれど、昨今、意外なほど新鮮に響く言葉だ。聞いたのは、東京・水道橋にあるトヨタ自動車の東京本社で。僕は、10月30日からの2015年東京モーターショーに同社が出展するコンセプトモデルの説明会に出たのだった。

冒頭の言葉は、KIKAIと名づけられたモデルのコンセプトについてだ。フレーム、エンジン、サスペンショシステムと、普段目に見えない構成部品がすべて見えるようデザインされたクルマだ。子どものオモチャにこういうのがあるけれど、大人の乗り物としては初めて。

「今の世の中には不安があると思います」。デザイナーの陶山和夫さんはそう語った。「クラウドとかビッグデータとか言われて、目に見えない情報に価値があると説かれると、逆に漠たる不安が募ってきます。工場萌え、クオリティコーヒー、クラシックカメラなどが若い人の間でもはやるのは、自分たちの生活を成り立たせているものの実体が見たいからではないでしょうか。モノとの丁寧なかかわりを大切にする価値観に“リアリティ”という名をつけてみると、クルマでも、どう動いているかがわかるものがあったらいいのでは、という発想に至ったのです」

コックピットはカボチャの馬車のよう

乗員が乗るコクピットだけは、シンデレラのカボチャの馬車よろしく独立している。足元にガラスがはまって、車内からサスペンションの動きが見えるようになっている。このクルマがもし量産化される時がくれば、きっと自動運転になっているだろうから(そうなるとコンセプトと相容れないかな……)、乗員は文字通り手放しで、クルマが動くのを眺めていられるかもしれない。それに僕はふと思ったのだけれど、シンデレラの場所仕様なんていう派生車種も出てくるかもしれない。

トヨタ自動車にはもう1台、出色のコンセプトモデルがある。

次ページマッドマックスのような「KIKAI」
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