往年の老舗「キャバレー」が再び脚光! 2代目オーナー夫妻が挑む起死回生ストーリー 《大阪・十三》 映画『国宝』のロケ地でも話題に
店を継いだ当時は経営不振だったキャバレーの事業も順調だ。
2023年11月、グランドサロン十三主催で初めてイベントを行った。バーレスクダンサーのショーや生演奏、著名なホステスによるトークショーなど、昭和の全盛期さながらのキャバレーを再現する内容だった。
チケット60枚はすぐに完売。グランドサロン十三のソファには、お客さんとホステスを合わせると100人近くの人が席を埋めていた。

当日、テーブルで客をもてなすホステスは、いくつかの席を掛け持ちして走りまわった。それまでキャバレーだけで満席になることはほぼなかったので、店長の喜びもひとしおだった。
このイベントからSNSでの注目も高まり、キャバレー営業で月数回は満席になるように。イベント後のキャバレー事業は1.5倍の売り上げ増。新規の客が来ても、席が確保できずお断りせざる得ない時もあるそうだ。
中には、70代のホステスを希望する若い客もいるという。「安心して愚痴や自慢話ができるから落ち着くんでしょうね」とマリアさん。
50年前の建物をそのまま引き継いでいく
今後について泰三さんは「昭和の頃に活躍された方々の語り部のようなトークショーを開き、記録に残したい」、マリアさんは「結婚式や誕生日といった人生の晴れ舞台に利用し、いつまでも懐かしく思える場所になってほしい」と語る。
建物は築50年を超えている。どんなに修繕したとしても、老朽化の波には抗えない。キャバレーで行き来する人数と、100人が一斉に動くようなイベントでは、耐えうる強度が異なることも拍車をかけている。
昭和の建物ゆえ、エレベーターがなかったり細かな段差があったりと、バリアフリー化も大きな課題だ。それでも、50年前の建物をそのまま引き継いでいく。「そこに一番の価値がある」と泰三さんは考えている。

「近い将来、老朽化が進んで補修できなくなり、建て替える時期がくるでしょうけれど、それまでは、このままの形をいろいろな方に知っていただけたらと思います。
その頃には、この形をそのままそっくり移動させる技術ができるのかなとか、そういうことを考えながら、建物の価値を残す取捨選択を探っていこうと思います」(泰三さん)
大阪のキャバレーを守る宮田夫妻の挑戦は、これからも続く。
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