往年の老舗「キャバレー」が再び脚光! 2代目オーナー夫妻が挑む起死回生ストーリー 《大阪・十三》 映画『国宝』のロケ地でも話題に
「私が会社に入ったとき、建物はかなりボロボロでした。剥がれた部分をガムテープでとめているソファもあって、『これはさすがに……』と。
ただ、店を預かったばかりで、どこにどれだけお金をかければいいかわからない。コロナ禍の休業期間に仕事の仕組みを覚え、どこに課題があるか、どこを直さなきゃいけないのかっていうところを見る時間ができたと考えました」(泰三さん)

休業期間を利用して、老朽化が進んでいた店舗の大規模な改修に着手。ダンスフロアの床の補修、音漏れ対策のための吸音材設置や壁の改修、喫煙室の設置、そして男女兼用だったトイレを分けるなど、多岐にわたる工事を行った。
休業期間中、30人ほどいるホステスたちとの信頼関係構築にも力を入れた。休業中の経済的サポートを施したほか、ひとりひとりと面談をし、困り事や改善した方がいいことを聞き取りした。
ホステスは50代以上のベテランが多く、なかには80代もいる。結果、営業再開までに辞めるホステスはいなかったという。
泰三さんは、お客様が安心して楽しめるよう、料金体系の明朗化にもこだわった。「いくら取られるかわからない」「ぼったくられるかもしれない」といった不安を払拭するため、サービス料や消費税込みのわかりやすい値段設定を導入した。

またお客様ファーストの視点から、ホステスの指名ルールなど長年の慣習を見直すことにも取り組んだ。そのうえで2021年秋ごろからは、貸会場事業を本格的に始動させた。
コロナ禍という逆境の中で、グランドサロン十三が新たな魅力を持つ場所として生まれ変わるため着実に土台を固めていったのだ。
夫婦になって二人三脚で
そのようなとき、貸会場事業を拡大しようと泰三さんはSNSでの情報発信に力を入れ始めた。だが一人では手が回らず、パートの事務職を募集することに。応募してきたのが、現在の妻であるマリアさんだった。
マリアさんは求人を見て応募したものの、「キャバレー」という業態に戸惑い、一度は辞退しようか迷いも。だが泰三さんの丁寧なメールのやりとりや面接を通じて、「心配するような会社じゃない。ここなら働けそうだ」と感じ、入社を決意したという。
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