「外観は怪しい、でも中は豪華」、映画『国宝』の撮影地で話題に!《大阪・十三の老舗キャバレー》が人気の背景

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「グランドサロン十三」の外観
「グランドサロン十三」の外観(写真:筆者撮影)
建物の横にある大きな黄色い看板
建物の横にある大きな黄色い看板には「関西一の大型キャバレー」という文字とともに店内のイラストが描かれている(写真:筆者撮影)

だが、建物の中に一歩足を踏み入れると、息をのむ光景が広がる。

まず目に飛び込んでくるのは、昭和の面影を色濃く残す広いホール。奥にはステージが構えられ、それを囲むように客席が扇状に広がっている。高さ6mほどの天井からは大ぶりのシャンデリアが吊り下がり、柔らかな光で場内を包み込む。

昭和の面影を色濃く残す広いホール
昭和の面影を色濃く残す広いホール(写真:筆者撮影)

「キャバレーだけで使うのはもったいない」

そもそも、グランドキャバレーとはどういったところなのか。

元をたどるとフランスのキャバレーが発祥で、日本では戦後に台頭し、独自に発展してきた。「グランド」と名付けられているように広々とした空間でホステスとの会話、歌謡やダンス、時にはヌードショー、生バンドでのチークタイムを楽しむ「大人の社交場」として全国各地で盛り上がりを見せたという。

その一つであるグランドサロン十三は1969年にオープンした。創業者で、泰三さんの父である静長(よしなが)さんは、キャバレーを中心に居酒屋、不動産会社などを立ち上げた凄腕の事業家だった。

中でもグランドサロン十三は静長さんの意向により豪華絢爛な装飾品が使われ、莫大の費用を投じて建てられた。内装は特注品なので、今ではもう、同じようには造れないそうだ。

だが娯楽の多様化や経済環境の変化、賃料の値上げなどにより、2010年代には全国のキャバレーが次々に閉店。東京の最後の一軒も、2020年に閉館している。グランドサロン十三は閉館を免れたものの、経営不振が続いていた。

そのようなときに父から店を託された泰三さん。「キャバレーだけで使うのはもったいない。ここは、十三の町を盛り上げる場所になる。店をたくさんの人に売り込んでいけば、地域貢献にもなるはずだ」、そう決心し、2020年初めに事業を継承した。

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