「合法ではあるけれど…」33年間で22回 ≪婚姻届と離婚届≫を出すしかなかった事実婚夫婦が語る"夫婦別姓"のリアル。"子どもたちの思い"も聞いた

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ただ、医療機関で困った経験はなかったという。

「ネットなどでは『夫婦別姓では手術の同意書にサインできない』と書かれることがありますが、実際に夫が簡単な手術を受けた際には、妻として問題なく同意書にサインできました。名字が違うことについて医療スタッフから指摘を受けたこともありません」

毎年、婚姻届・離婚届を出す理由

子どもの出産や、生命保険の手続きのために結婚・離婚を繰り返してきたお二人。それとあわせて、これまで22回婚姻届・離婚届を出している(うち1回は保険の手続きのため)。

その理由は、税制上の「配偶者控除」を受けるためだ。家計は主に山田さんが支え、石川さんは扶養内で働いているが、事実婚では配偶者控除を受けることができない。

「『事実婚でも夫婦だから』と思って、配偶者控除の申請を毎年していました。しかし2005年に税務署から『石川彩子さんは12月31日の時点で法律上の配偶者ではないので、2年前に遡って過少申告加算税を納めなさい』と言われたのです。それ以降、大晦日に婚姻届を出し、年が明けてしばらくしたら離婚届を出すのが毎年のルーティンになりました」

この方法は、法律上認められた手続きであり違法ではない。ただ、33年間にわたり生計を共にしている夫婦が、税制上の理由で毎年このような手間をかけなくてはならないという、”制度の壁“があるのが現状だ。しかし山田さんは、笑いを交えながら経験を語ってくれた。

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