また取材前に、石川さんが次女に「子どもの頃どう感じていたか」と聞いたところ、「いじめられたことはないけど、”どうしてお兄ちゃんと名字が違うの?”と友達に聞かれると、ちょっと困惑した。”選択的夫婦別姓制度ができたら、当たり前になることなのになあ”と思っていた」と回答があったそうだ。
石川さんは、子どもたちに夫婦別姓を選択していることを改めて説明した記憶はないという。
「子どもたちは、家族の中で名字が違うことを当たり前のこととして育ってきたので、親子で特別に話し合うこともありませんでした。それは、自分の名前を日常で意識することがほとんどないのと似ていると思います。
多くの人にとって、名前を意識するのは人から呼ばれたときや、初対面で名乗るときくらいではないでしょうか。それと同じように、子どもたちは、名字の違いを認識しつつも、自然なこととして過ごしてきたのだと思います」
時代で変わる、事実婚で”できること・できないこと”
夫婦別姓(事実婚)であることで、社会生活において「できること・できないことがあった」と山田さんは語る。
「事実婚でも文部省の共済組合から結婚祝いを受け取ることはできました。ただ、ほとんどの銀行では家族カードを作ることができませんでした」
現在は、生計を共にするパートナーであれば、別姓でも家族カードを申し込めるケースが多いが、金融機関によって対応は異なる。同様に、以前はできなかったことが可能になった事例もある。
「昔は、夫の生命保険の受取人を事実婚の妻にすることはできないと言われ、仕方なく子どもを受取人にしていました。数年後に『もう可能です』と言われ、変更したことがあります」
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