沖縄尚学・悲願の夏優勝 沖縄県勢が「参加したくてもできなかった‥」歴史と抱えてきた不平等。県民が甲子園に一丸となる「深い事情」
今はもう、すっかり沖縄は高校野球強豪県となった。春夏通算で5回目の優勝を果たしたことは、誰が何を言おうと胸を張れる。プロの一線で活躍する県出身選手も多く輩出してきた。野球で「本土に追いつけ」という段階はもう過ぎたと言えるが「みんなで一つになって沖縄の球児を応援しよう」ということそのものが、毎年の“県民的大行事”として定着しているのだ。
沖縄県勢の吹奏楽応援ソング

そんな過去を受けて、歌詞の中に「本土復帰を迎えた頃はみんなおんなじ夢を見た」と歌うBEGINの「オジー自慢のオリオンビール」が、県勢応援ソングとして甲子園のアルプススタンドから鳴り響いているのは感慨深い。
実は、沖縄県勢を応援する吹奏楽の音色は、毎年、兵庫県の市立尼崎高校吹奏楽部が友情演奏しているものだ。沖縄からは、吹奏楽部員の移動や楽器の輸送が大変で、現地協力校として同校の力を借りている。指揮を執るのは沖縄県・伊良部島出身の羽地靖隆さん。44年間も沖縄県の代表校を応援している。
高校野球ファンの中には気付いている人もいるかもしれないが、沖縄県勢の吹奏楽応援ソングは全国的な定番と違う。曲を聴いただけで、沖縄の高校の試合だとわかる曲も多い。
そのうち代表的なものが、喜納昌吉&チャンプルーズが1992年にリリースした「ハイサイおじさん」だ。ランナーが得点圏にいるときに演奏される“魔曲”で、流れるだけでウキウキする。余談だが、志村けんが「変なおじさん」のコント中に歌っている曲の原曲でもある。
そして今大会初登場の最新ナンバーがある。それはHiDE春の「愛太陽」だ。ここ1年間ほど、沖縄のラジオ局RBCiラジオのテーマソングとして番組間ジングルなどに採用されている元気な楽曲で、日々の生活の中で耳にすることが多い。この曲が応援曲のラインナップにあるだけで、沖縄の今をキャッチアップしてくれている感覚にもなるし、近くで寄り添ってくれているような感覚になる。
特筆すべきが沖縄民謡の「ヒヤミカチ節」だ。「ヒヤミカチ」とは沖縄の言葉で、気合を入れたり誰かを鼓舞したりするときの掛け声のような言葉だ。沖縄民謡の旋律でしっかりと地域性を感じさせながら、曲の意味としても甲子園の応援にピッタリなのである。観光や出張で沖縄に来た際には、ぜひ民謡酒場などで聴いてほしい曲の一つだ。
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