中国人「爆買い」はなぜ消えた? 今求められる新たなインバウンド戦略。中国人“富裕層”ヴィトン爆買いに浮かれたツケとは

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中国のSNSではルイ・ヴィトンやプラダなどのバッグの日中価格差リストが出回り、4月末に中国のSNSで「日本のヴィトンにいるのは皆中国人」というハッシュタグがトレンド入りした。

処理水放出以降の「日本のものは食べられない」「日本は汚染されている」との空気も急激に薄れ、花見シーズン、大型連休が重なった4~5月、中国人の訪日需要は爆発した。中国人は何だかんだ言っても実を取る人が多いのだ。

2024年のゴールデンウィークに会社員の徐さん(30代)は、京都観光を半日で切り上げ大阪に買い物に向かった。金閣寺の写真をSNSに投稿したところ、職場の上司から「ヴィトンの小物とミュウミュウのバッグを買ってきてほしい」と頼まれたからだ。中国人だらけの店に入ると自分の分も欲しくなり、2つの店舗で30万円を使った。

徐さんは「中国で同じものを買えば45万円する。飛行機代とホテル代を入れても元が取れた」と喜んでいた。5年ぶりに日本を訪れた徐さんの彼氏は、円安効果で「北京より物価が安い。マルチビザを取ったから来月また来る」と話した。

円安と値上げでお得感消失

2025年は為替が円高に振れ、百貨店のインバウンド消費は腰折れした。

外資ブランドも苦戦しており、LMVHの2025年4~6月期決算で、日本市場は28%の減収だった。前年同期は中国人旅行者による購入が伸びて、予想を上回る57%の大幅増収だったことから、同社は反動減の要素も大きいと分析する。

LVMHは他国とのバランスを取るため2023年から2024年にかけて日本で何度も値上げしたが、円の下落がそれ以上のペースで進み、「世界のどこで買うよりも安い」市場になっていた。

しかし円安が落ち着き、度重なる値上げで他の市場との価格差も縮小し、日本で買うお得感は薄れた。

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