中国人「爆買い」はなぜ消えた? 今求められる新たなインバウンド戦略。中国人“富裕層”ヴィトン爆買いに浮かれたツケとは
コロナ禍が収束し、日本でインバウンド消費が復活しつつあった2022年から2023年にかけて、「本命の中国人が戻ってこないと、インバウンド消費は本格回復しない。中国人の訪日旅行はいつごろ復活しますか」とよく聞かれた。
2010年代、訪日中国人旅行者の日本での消費はすさまじい勢いで成長し、2019年に訪日外国人旅行者の消費額の36.8%を占めるまでになった。その幻影を追いかけたくなるのはもっともだ。
しかし中国側の関係者は冷静で、「あのような爆買いはもう起きない」と口をそろえていた。
筆者のこれまでの取材では、中国越境EC大手アリババグループの幹部はその理由について「爆買いが起きたのは、中国人の海外旅行が黎明期だったのと、日本でしか買えないものがたくさんあったからだ。
コロナ禍の間に越境EC市場が拡大し、日本ブランドの人気商品をオンラインで手に入れられるようになったので、日本旅行の間に買いまくる必要がなくなった」と説明していた。
中国人の訪日旅行は団体から個人にシフトしており、体験型の消費が重視されるようになるというのが、中国側の旅行や越境EC関係者の一致した見立てだった。
「日本でだけ」売れたグッチ
にもかかわらず「高級品の爆買い」が起きた第一の要因は円安だ。実は中国人の爆買いが流行語になった2015年も、1元=20円に迫る歴史的な円安水準がきっかけになっていた。
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