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政治的には実現しないかもしれないが、「論理的に実現可能で、今の日本にとって望ましい経済政策」を緊急提言する 

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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今回は、目先の緊急政策提言であるが、背景の構造、考え方、長期戦略とも整合的でなくてはならないから、そうした面も上述した。詳しくは議論できないので、それらは次回とする。

インフレの主因は「必需品の供給不足」にある

冒頭に述べたように、日本政治も経済政策も同時に分岐点にある。これはあらゆる面で経済構造が転換点にあり(かつ、そのすべての面が連動している)、社会も同様であることが背景にあるが、短期の経済政策にも直接的に関係しているのは、需要不足の経済は終わったということだ。これは、誰にとっても明らかだと思うので、今回はここにまず焦点を当てる。

現在のインフレは、需要超過による価格上昇圧力ではない。供給サイドの要因で上がっている。日銀は、一時「第1の力」「第2の力」とわかりにくい表現をしていたが(コストプッシュという言い方をしたくないからだろう)、今では使わなくなった。これは利上げの自由度を上げるために、現在のインフレを金融政策の変更(変更しない)に合わせて解釈できるように、あいまいにしているのだろう。

日銀がどう解釈しようと、インフレは供給サイドが主因で上がっている。それに需要がついていっている以上、コストプッシュインフレというものは存在せず、すべてのインフレは需要がある、というのが渡辺努・東大教授のインフレ理論らしい。

それはそれで正しいが、重要なことを渡辺氏も日銀も見落としている。あるいは解釈を誤っている。それは需要といっても、インフレの多くが、必需品のコストプッシュインフレで起きているということだ。必需品だから、コストがどうなろうが、価格がどうなろうが、需要は不変で常に存在する。ここが問題だ。

金融引き締めをするのは、需要が過熱してインフレ圧力が高まる場合、というのがふた昔前の常識で、この観点に立てば、利上げをする必要はない。なぜなら、今、日本で価格が上がっているのは、需要が過熱して、経済が過熱することとは無縁だからだ。むしろ、必需品への支出額が価格上昇により増えてしまい、嗜好品への支出が減り、景気は減速するおそれがあるから、むしろ、金融緩和を続ける理由になる。

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