国内初、生成AIがオフィスレイアウトを15分で提案──KDDIの無償ツールが設計業界に与える衝撃
家具データは現時点でメーカー3社分を搭載。今後さらに拡充していく計画だ。型番から価格まで全て入力済みのため、相見積もりを取る手間も省ける。
なぜ無償提供なのか──データが生む営業機会
ここで疑問が湧く。なぜKDDIはこのツールを無償で提供するのか。
平田氏の言葉にヒントがある。「入力された情報は、我々にとって提案ができる情報になる」。
企業がツールに入力する情報──オフィスの広さ、従業員数、予算規模、企業理念——から、どの企業がいつオフィス移転を検討しているか、どんなニーズを持っているかが見えてくる。
KDDIのオフィス構築支援事業は1989年から始まっている。当時はクラウドがなく、世界各地のKDDI拠点からサーバールームのラック配置の相談が来たことがきっかけだ。2024年度だけで国内外約8000社のオフィス構築を支援している。

8月19日にオフィス構築のコンサルティングサービスとして「KDDI Smart Space Design」を開始した。58社のパートナー企業と組み、設計から施工、運用までをマネジメントする体制を整えた。無償ツールで集めた見込み客に、このサービスを提案していく算段だ。

2024年の売上は「三桁億の手前ぐらい」(執行役員常務ビジネス事業本部副事業本部長兼ビジネスデザイン本部長・那谷雅敏氏)というが、2028年度には800億円を目指す。4倍成長を実現するには、効率的な営業が不可欠。無償AIツールは、その起爆剤となる。
このツールが普及すれば、既存の設計事務所や内装業者にも影響が及ぶ。
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