自ら動いてブランド力向上を図る--キリンビール新社長・磯崎功典

自ら動いてブランド力向上を図る--キリンビール新社長・磯崎功典

次のキリンビール社長だとHD社長の三宅(占二氏)から聞かされたときは、まさに青天の霹靂だった。そもそもこの時期に社長が代わるとは思ってもみなかった。キリンビールには、松沢幸一前社長のような製造のプロをはじめ、営業など各分野にプロがいる。私はどの分野のプロでもない。ただ、世界の食品大手の社長はさまざまな分野や会社を渡り歩いている人が多いのも事実。ホテル経営から海外事業まで幅広く経験してきた私には「経営のプロ」を期待されているのだと思っている。

今後はCSR重視の企業体質へ

これから2013年度以降の中計作成に取りかかるが、商品のブランド力向上が重要だ。そのために広告費をかける商品の選択と集中を進める。また、何より私がこだわるのはCSR(企業の社会的責任)だ。現代ではブランドを築くうえで、CSRは避けて通れない。われわれの調査でも、今の若者は環境や貧困問題など社会問題への関心が非常に高い。キリンの商品を購入することで、社会問題の解決につながるという印象を持ってもらう必要がある。すでにCSRには取り組んでいるが、世界大手のようにもっとトップが強く訴えていく必要がある。海外駐在の経験を生かし、世界基準で会社の成長を牽引していきたい。

また、近年はコスト削減による利益確保の姿勢が強かったが、あらためて売り上げの重要性を強調したい。もちろん、コスト削減を否定するつもりはない。誰がやっても失敗するといわれていた兵庫県尼崎市のホテル経営を任されたとき、売り上げが増えない中でコスト削減を徹底した。特にいちばんかかる人件費を削減するため、365日、総支配人である私がホテルに住み込み、毎晩見回りなどをやったことで数千万円を節約できた。その間、いつでも動けるようソファで寝ていた。トップ自らが動くことで従業員も積極的に動くようになった。

しかし、コスト削減だけでは採算改善に限界があるのも事実だ。ホテル経営では増収策を探った結果、ビジネス需要のない週末に尼崎近くの宝塚歌劇団を見に来る女性客向けプランを導入。稼働率を5割から9割に引き上げたことで黒字を達成できた。

リーダーが自ら動く。キリンビールの経営でもそのことを貫きたい。

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(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年4月14日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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