ソニー・東宝…有力企業の首脳陣らも駆けつけた!関係者が行き交うアニメ産業の「社交場」 ロサンゼルス"アニメの巨大祭典"でみた熱狂の実態
アニメエキスポの見どころの1つが、人気作品やアニメ製作会社、動画配信プラットフォームなどのブランドを冠したステージイベントだ。期待作のプレミア上映、声優による演技披露、世界初公開となる新作情報の解禁などと、内容は多岐にわたる。

多くのファンを集めた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』のイベントは、劇場版の上映に始まり、続いて鶴巻和哉監督をはじめとするスタッフ陣や声優陣をゲストに迎え、作品に関するトークショーや演技披露が催された。
ファンたちはガンダムの飾りを頭に着け、劇場版の戦闘シーンや、シリーズのカギを握るキャラクター、シャリア・ブルの初登場シーンなど、見どころが訪れるたびに「フォォォーーー!!!」と歓声を上げる。一方でトークショーに移ると、スタッフ陣の話す内容に対し、真剣な面持ちで耳を傾けていた。
ライトノベル原作のヒットアニメ『薬屋のひとりごと』のイベントが開かれた近隣ホテルの大規模な宴会場も、ファンですし詰め状態だった。人気声優・悠木碧が主人公・猫猫(マオマオ)の特徴である「あ゛」「がっ」といった濁点がかった演技を披露するたびに会場が沸き立ち、名台詞「これ、毒です」には、ひときわ大きな歓声が上がった。
ギークの熱狂に油断禁物
もっとも、現地のファンたちの熱量の大きさとは裏腹に、北米ビジネスの最前線では、さまざまな課題意識がくすぶる。とりわけ関係者たちが課題感を覚えているのが、グッズなどの商品化ビジネスだ。
グッズビジネスに強いバンダイナムコグループの北米法人の担当者は、「例えば日本や中国にはそれぞれの文化がある。ただ、アメリカはあらゆる国の人々が集まっており、メッセージを伝えるのは容易ではない」と指摘。そのうえで、「ガンダムでは今、12の州でプラモデルの体験イベントツアーをしている。(グッズに)実際に触れ、試す機会を提供することが重要になる」と強調する。
祭典の余韻が残る帰国後、記者がロサンゼルスで見てきた熱狂について「大人数のギークが集まるので、市場がすごく盛り上がっているように見えるが、(よりライトな層にも)ファンのすそ野を広げていかなければならない」と警鐘を鳴らすアニメ製作大手の社員もいた。
4日間を通じて、多くの業界関係者が手応えを肌で感じたことは確かだろう。この手応えを北米市場の開拓へ緩みなく前進し続ける糧とできるかが、これから問われることになる。
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