「十条駅前にできたタワマンの一部が廃墟化している」との噂が…。現地を訪れた私が見た光景と、ネットではわからない"意外な真実"
こんな商店街があれば、店側はモールに出店はしない。モールにチェーン店が多いのも、逆にチェーンしか入ってくれない、ということなのかもしれない。
ラウンジには子どもがたくさんいた
ただ、こうしたモールのガラガラぶりを示して「廃墟」と言い切ってしまうのは早急だし、なんだかこのタワマンの半分しか言い当てていないな、とも思う。というのも、このモールで人が集っている場所もあるからだ。
それが、モールの上にあるラウンジ。そこは図書館のような空間が広がっていて、本が置いてあったり、自販機が置いてあったりする。なにより部屋にはたくさんのテーブルがあって、そこに座っておしゃべりや勉強ができるのだ。
私が訪れたのが夏休みだったこともあるのだろう、多くの子どもがそこでおしゃべりをしたり勉強をしたりしていて、なんだかいい空間が広がっていた。

子どもは常に、どこかたむろできる場所を求めるもの。コワーキングスペースなんて使えないし、夏だと外は暑すぎる。目ざとく集まれる場所を探した子どもたちが、このスペースを発見した。

そもそもこのタワマンの共用部は、区の施設と民間の商業施設が半々ぐらいで入っていて、公共施設的な色彩も強い(公益施設の部分はJ&L(ジェイトエル)という名前が付いている)。このスペース以外にも、税務署の支部や、区民が使える会議スペースなどもある。

このスペースを見たとき、ふとかつての思い出がフラッシュバックした。
そういえば、タワマンができる前、ここにはミスドがあって、私はそこで友達とだべりながら勉強していた。そう思うと、時代が変わっても、建物が変わっても、意外とかつての私と今の子どもはこの場所で同じことをしている。妙な感慨が湧き出る。
ここにいる子どもたちからすれば、ここは廃墟でもなんでもなく、友達と集まれる馴染みの場所。それは、タワマンを外から見ているだけではわからない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら