「十条駅前にできたタワマンの一部が廃墟化している」との噂が…。現地を訪れた私が見た光景と、ネットではわからない"意外な真実"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こんな商店街があれば、店側はモールに出店はしない。モールにチェーン店が多いのも、逆にチェーンしか入ってくれない、ということなのかもしれない。

ラウンジには子どもがたくさんいた

ただ、こうしたモールのガラガラぶりを示して「廃墟」と言い切ってしまうのは早急だし、なんだかこのタワマンの半分しか言い当てていないな、とも思う。というのも、このモールで人が集っている場所もあるからだ。

それが、モールの上にあるラウンジ。そこは図書館のような空間が広がっていて、本が置いてあったり、自販機が置いてあったりする。なにより部屋にはたくさんのテーブルがあって、そこに座っておしゃべりや勉強ができるのだ。

私が訪れたのが夏休みだったこともあるのだろう、多くの子どもがそこでおしゃべりをしたり勉強をしたりしていて、なんだかいい空間が広がっていた。

ラウンジ
綺麗ないい空間に人々が集っている(筆者撮影)

子どもは常に、どこかたむろできる場所を求めるもの。コワーキングスペースなんて使えないし、夏だと外は暑すぎる。目ざとく集まれる場所を探した子どもたちが、このスペースを発見した。

デスク
一人用のデスクもある(筆者撮影)

そもそもこのタワマンの共用部は、区の施設と民間の商業施設が半々ぐらいで入っていて、公共施設的な色彩も強い(公益施設の部分はJ&L(ジェイトエル)という名前が付いている)。このスペース以外にも、税務署の支部や、区民が使える会議スペースなどもある。

東京都北都税事務所
東京都北都税事務所。北区の事業者である私は、ここに税関連の書類を提出している(筆者撮影)

このスペースを見たとき、ふとかつての思い出がフラッシュバックした。

そういえば、タワマンができる前、ここにはミスドがあって、私はそこで友達とだべりながら勉強していた。そう思うと、時代が変わっても、建物が変わっても、意外とかつての私と今の子どもはこの場所で同じことをしている。妙な感慨が湧き出る。

ここにいる子どもたちからすれば、ここは廃墟でもなんでもなく、友達と集まれる馴染みの場所。それは、タワマンを外から見ているだけではわからない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事