花王次期社長に取締役最年少、研究開発畑出身の澤田道隆氏
花王は9日午後、東京・日本橋の本社で会見を行い、取締役の澤田道隆氏(写真右)が社長に昇格する人事を発表した。8年間社長を務めた尾崎元規氏(同左)は会長に退く。6月28日の株主総会での承認を経て正式決定される。
社長に就く澤田氏は現取締役の中で最も若い56歳。1981年に大阪大学を卒業し花王に入社して以来、31年間研究開発に携わってきた。2000年代にはサニタリー研究所長として、売り上げの落ち込んでいた幼児用おむつ「メリーズ」の立て直しに携わり、シェアの奪回に貢献したという。07年からヒューマンヘルスケア研究センター長の職にある。
現社長の尾崎氏は、澤田氏を新社長に指名した理由について「基盤研究から応用研究にまで精通しており、花王のよきものづくりをグローバルに牽引する力量を備えている」と語った。
花王は現在、新興国戦略で米P&Gなど競合他社に遅れを取っている。これを打破すべく、尾崎社長のもとでグローバルに一体運営を行うための体制整備が図られた。「あとはいかに想像力あふれる、差別化された技術をもって商品やサービスを提供できるかにかかっている」(尾崎氏)。
これを受け澤田氏は、「絶えざる革新を続けていくように取り組んでいく。中間層に向けた商品なら、単にプレミアムな商品の機能を削って安価版にするのではなく、その層のニーズにあった革新的な商品を出していくというスタンスに立つことが重要」と意気込みを見せた。
また高齢化の進む国内市場については、「いち早くニーズをつかみ、他社に先んじて新しい切り口で切りこんでいけるよう、方策を打っていく」(澤田氏)。アクティブシニアをターゲットとした商品開発などへの意欲を語った。
(長瀧 菜摘 撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)
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