手応え十分の面接。社内でも高い評価を得て、満を持して内定を出した学生。しかし、その後の連絡で告げられるのは非情な内定辞退の知らせ。そんな人事担当者の天国から地獄へと急降下した心情が、軽快なリズムの中に凝縮されている。採用したいと強く思う学生ほど、他社からも同様に高い評価を受けるもの。売り手市場が強まる中、学生は複数の内定を保持し、より良い条件を求めて比較検討するのが当たり前になった。企業側の「採ってやる」という姿勢はもはや過去のもの。「選んでいただく」という謙虚な気持ちで、内定後も手厚いフォローを続けなければ、学生の心はつなぎとめられない。採用のゴールが内定出しから入社へとシフトした厳しさを物語っている。
学生が生成AIでエントリーシートを書くならば、こちらもAIでその内容を褒め称えるメールを書いて送り返す。もはやコントのような光景が目に浮かぶ、今どきの採用活動を痛烈に風刺した作品である。お互いがAIという仮面を被ってコミュニケーションを取る、この奇妙な状況は、効率化の行き着く先にある空虚さを示唆しているのかもしれない。血の通った対話はどこへ行ったのか。作者のペンネームも相まって、終わりの見えない「就職され活動」に疲弊する人事の姿が浮かび上がり、笑いとともに一抹の寂しさを感じさせる作品だ。ただ、作者はIT企業勤務で、AIを否定しているわけではなく、AIを活用できる学生は大歓迎とのこと。
HR総研のオフィシャルページでは、「2026年卒 採用川柳・短歌」の全入選作品について、作者の思いを踏まえての寸評・解説も掲載している。それぞれの作者がどんな気持ちでこの川柳や短歌を詠んだのか、ぜひご覧いただきたい。
今年の入選作品一覧
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