健康への投資は早ければ早いほど効果が上がる。シンガポールで発展する健康ビジネスの仕組み

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田村:私はそう予想しています。国民の健康寿命を延ばせば、年金や社会保障の制度も変わっていきます。労働力人口は15~65歳と定義されていますが、その定義そのものが変わるからです。すでにアメリカの投資家、ウォーレン・バフェットさんは、94歳でも立派に活躍されている。高齢者が労働力になっていけば、おのずと国の財政は潤います。

窪田:今は一部の富裕層に向けての展開ですが、そうしたデータを集めて公共政策に利用する。一般の方でも長寿クリニックのベネフィットを得られるようになっていくということですね。

田村:そうした公共政策は、いいことばかりだと思うんです。経験豊富な人材が働き続けられるのですから、高齢化も悪いことではなくなる。引退せずに稼げれば、年金の支払いを延期することもできます。

窪田:中国が国策として近視対策に乗り出したのも、近視による眼疾患発症率を下げることで、将来の医療費を削減するためだと言われています。国民の健康寿命を延ばすことは、国にとってもメリットがたくさんありそうですね。

健康への投資は早ければ早いほど効果が高い

田村:実は、長寿クリニックには、20代で来ている若者もいるんです。

窪田:え!そんなに若くても?

田村:びっくりしますよね。20代からしっかり自分の健康のことを考えているなんて、すごいなと。

窪田:人は日々、老化していきますから、その速度を変えるのはとても大事。目に関してもですが、若いうちから気を付けていればいるほど、効果は高くなります。20代から始めたら、ものすごく長生きできる可能性も。

田村:若くして健康に投資するのは、とても賢いなと思います。私自身、予防医療にお金をかけることは有意義な投資だと考えています。

窪田:一番いい投資ですよね。自分のライフタイムが長くなって、その分だけアクティブに過ごせる。目ももちろん同じで、幼少期や若いうちに意識して近視を防ぐことで、将来の眼疾患発症率を抑えられます。

近視は病気です
(出所)『近視は病気です』

そして何よりその人の幸せにもつながる。田村さんもですが、その若者にも先見の明がありますね。

次回は、社会人になってから学び続けることにどんな効果があるのか。田村さんが9月に発売される新刊の内容に触れながら、話をお聞きしていきます。

(構成:安藤梢)

田村 耕太郎 国立シンガポール大学リー・クワンユー公共政策大学院兼任教授、2022~2026年一橋大学ビジネススクール客員教授

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たむら こうたろう / Kotaro Tamura

カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー。デューク大院、イェール大院、各修了。
元参議院議員。第一次安倍政権で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)。
ハーバード大学、ランド研究所、ミルケンインスティテュートで研究員。
Open AI, SpaceX, Scale AI, Neuralink等の70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。
シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』、『地政学が最強の教養である』など著書多数。

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窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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