「昭和へ回帰?」職場懇親会の復活は若手社員にも意外に好評…だが、最近トレンドの≪1on1ミーティング≫が敬遠されるワケ

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ここで、筆者が気になったのは、“タテのコミュ活”の代表的な施策である1on1(ワンオンワン)ミーティングです。コロナ禍以降、管理職と部下が一対一で定期的に対話する1on1ミーティングを取り入れる企業が増えています。

まず管理職からは、1on1ミーティングについて「まったく気乗りはしませんが、役割だから仕方ありません」(小売り)という諦めの声や次のような疑念・不満が聞かれました。

1on1ミーティングは管理職への罰ゲーム?

「管理職の面談スキルが高ければ、部下との関係が深まるのかもしれませんが、私のスキルではとてもとても。人事部から指定された質問項目を淡々と尋ねて後で報告を上げるだけで、私にとっても部下にとっても時間の無駄です。1on1ミーティングって本当にやる意味があるんですかね」(物流)

「1on1ミーティングで本音を語ってくれる部下は、すでに雑談や飲み会で本音を把握しています。まだ本音を語ってくれていない部下が1on1ミーティングで『実は』と言い出すことはありません。1on1ミーティングって人事部の『制度を作りました!』という自己満足で、意味がないと思います」(素材)

「9人の部下と毎週1on1ミーティングをする必要があります。スケジュール調整・準備・報告などを含めると、私の仕事の半分近くが1on1ミーティングです。他の仕事が滞り、残業続きで、思い切り疲弊しています。まさに管理職への罰ゲームというところです」(食品)

部下は1on1ミーティングをどう受け止めているでしょうか。一部に「親身に相談に乗ってもらえるようになってよかった」(建設、30代)という意見もありましたが、多くが1on1ミーティングを敬遠していました。

「大嫌いな上司と1対1で月2回も30分も話すって、拷問です。1on1ミーティングを終えるたびに、『そろそろ会社を辞めようかな』と悩みます。私にとっては、最悪の施策です」(IT、20代)

「嫌がっている部下から悩みを聞き出すのがマネジャーの仕事って、必要かもしれませんが、まったく夢がないですよね。2年前に1on1ミーティングが始まってから、出世意欲がなくなりました」(素材、30代)

経営者から「コミュニケーションが大切」と言われると反論のしようがありませんが、もともとコミュニケーションは目的ではなく、職場の人間関係や指示命令を円滑にするための手段。コミュ活という手段によって人間関係などがかえって悪化するという本末転倒にならないよう、実質的な効果を見極めて取り組みたいものです。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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