日傘を差し続けて50年、87歳の元祖“日傘男子”が沖縄にいた!「利用促進パレード」まで開催する熱意のワケが意外と深かった

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「女の人は日傘を差して『私はプリティーガールですよ』というように堂々と歩いていくさ。それと同じで、男の人だって禿げた頭を帽子で隠すぐらいなら、日傘を差して胸を張っていれば偉人に見えるよ。昔は首里の王様のお付きの人が、傘を差し出して日差しから王様を守っていたでしょう」

渡口さん
アロハシャツがよく似合う渡口さん(筆者撮影)

そしてこのような“コペルニクス的転回”も口にする。「多くの男性はね『傘は雨が降っているときにだけ差すものだ』と思っているんですよ。雨傘を手にしたまま太陽の下を歩いて、電柱の陰で日差しをよけているんですから。それなら今持っている傘を差せばいい。そうしたら影が出来て、木の下にいるかのように涼しいよ」

日傘が差せるのは「平和だから」

「日傘はね、平和のシンボルなんですよ」。現在87歳の渡口さんは、沖縄戦の経験者だ。「サマーシーズンにはビーチパラソルが立っている。マーケットに行けばマーケットパラソルがあるさ? 日傘を持って公園に行くこともできる。そんなことは、戦(いくさ)になるととんでもないよ。平和だからできるんだよ」

渡口さんが2代目となる渡口万年筆店は、1931年創業。今もまだ収集が続く兵士の遺骨と一緒に、同店製作の万年筆が遺品として出てきたこともある。

今となっては日常の些細なことでも、それが「平和だからできること」だと感謝できる。日傘を差す渡口さんの毎日そのものが、喜びでもあるのだ。

渡口さん
渡口さんの手にする「日傘関係資料」。後述の「沖縄日傘愛好会」の活動の歴史が詰まっている(筆者撮影)
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