末期の肝臓がんを患う父親の“死期”を知ったきょうだいに起こった「変化」《親のがんを幼い子どもに伝えるときの大切なこと》

✎ 1〜 ✎ 36 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 39
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このような場合、「自分のせいで病気になってしまったのではないか」という、子ども特有の発想を抱くこともあり、かえって疎外感を覚え、不安な気持ちにさせてしまうこともあります。

がん患者の子ども支援をテーマにした調査(「がん診療におけるチャイルドサポート」2013年度、聖路加国際病院小児科)によれば、子育て世代のがん患者の子どものうち、14歳以下の子の49%が、親ががんになった体験に関連した心的外傷ストレス(PTSD)を経験していることが明らかになっており、親の病気に伴う子どもの心のケアの必要性も注目されています。

子どもへの説明に役立つ「3つのC」

では、子どもに親のがんについて伝えるときには、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。

そのヒントの1つに「3つの“C”を念頭に置く」という考え方があります。

これは、
①Cancer(がん)
②Catchy(伝染)
③Cause(原因)

の頭文字を指したもので、「病名をしっかり伝えたうえで、がんは感染しないし、病気になったのは子どもが思ったり、やったり、やらなかったりしたことが原因ではないと理解してもらう」というもの。

特に、「あなたのせいじゃないよ」と言葉にして伝えることは、とても大切です。

話をするなかで、子どもから「死んじゃうの?」とストレートに聞かれる場面もあるかもしれません。実際に筆者も、これまで患者さんのお子さんから同じ質問を投げかけられたことが何度かあります。

このとき大事なのは、「もしかしたら、そういうこともあるかもしれないね」「でも、みんないつかはそうなんだよ」など、「死なない」という約束はしないこと。そのうえで、今は治療を受けて、病気を治そう、長く生きようとしている事実を伝えることだと思います。

このことで、筆者の苦い経験を1つお伝えします。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事