早速、答えを申し上げましょう。「夏のビールは肝臓にはそれほど大きな影響をもたらしていない」というのが私の考えです。
もちろん、毎日大量のビールをガブガブ飲むのはいけませんが、適量の範囲(中ジョッキ2杯程度)で飲んでいるなら問題はありません。適量でとどめていられるなら肝臓的には「無罪」も同然で、毎日ジョッキを傾けていたとしても肝臓にさしたる支障はないのです。むしろ、「クワーッ」と爽快に飲むことで、1日の疲れが取れたり1日のストレスを解消できたりするのであれば、その心身に対するプラス効果のほうが大きいと言っていいのではないでしょうか。
脂肪肝の大多数は「非アルコール性」
みなさんの中には「夏のビールは無罪」と聞いて怪訝な顔をしている方もいらっしゃるかもしれません。そういう方は、「アルコールは肝臓によくない」という先入観が強く脳に染みついているのでしょう。
しかし、近年、肝臓の健康に害をもたらす原因としてクローズアップされているのは、「アルコールの飲みすぎ」よりも「糖質の摂りすぎ」なのです。
たとえば、脂肪肝では、多量飲酒が原因の「アルコール性脂肪肝」よりも、ほとんどお酒を飲まないにもかかわらず肝臓に脂肪が蓄積する「非アルコール性脂肪肝」のほうが大多数を占めるようになっています。
そして、この「非アルコール性脂肪肝」の原因となるのが糖質の摂りすぎ。
日々糖質を過剰摂取していると、体内にブドウ糖があふれ、大量のインスリンが分泌されます。このインスリンにはブドウ糖の中性脂肪への変換を促す働きがあり、これによって肝臓にどんどん中性脂肪がたまってしまうのです。
糖質の摂りすぎで脂肪肝になる人は、いまたいへんな勢いで増えつつあります。しかも、最近の研究では脂肪肝を放っていると、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心臓病、脳卒中などさまざまな重大疾患につながっていくことが明らかになっています。本当に、糖質の摂りすぎによる脂肪肝が万病を引き起こす元になると言ってもいいのです。
つまり、こうした影響の深刻さに比べれば、アルコールが肝臓にもたらす影響はだいぶ小さいということ。もちろん飲みすぎは肝臓に負担をかけて肝機能低下につながりますが、適量を心がけてさえいれば問題なし。夏のビールの「クワーッ」も、(飲みすぎない限り)そんなに気にする必要はないのです。
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