BYDが日本市場で進める緩やかな電動化戦略とは。バッテリー技術30年の知見を活かした独自アプローチ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「日本市場に投入されるBYDのEVは、ユーザーにEVらしさを押し付けない、特別意識させないデザインと使い勝手を目指しています。

進歩した技術はものすごいスピードで実装されますが、人間はそのスピードには到底追いつけない。なので、少しずつデザインが電動化の社会に対応していくよう、意識していかなければなりません」(池畑氏)

例えばテスラのように物理ボタンをなくしたり、ヒョンデのような未来的なデザインを採用するなど、急進的な変化も魅力的かもしれない。

しかしBYDはデザインや操作性の面で従来の自動車のイメージを極力維持することで、ユーザーの戸惑いやEVへの気負いを抑える狙いがあった。

意外にも思えるが、実際の自動車と乗り比べてみても分かる通り、BYDは急激な変化を狙っていないのだ。

EVに横たわる「3つの心理的障壁」への対策

SEALION7の車内
SEALION 7の車内。巨大なスクリーンは90度回転し、縦型としても利用可能。画面下のワイヤレス充電機は50Wまで対応し、端末を冷やすための空調の吹き出し口まで用意される(筆者撮影)

池畑氏は、日本の自動車市場において、EVに対する心理的障壁が3つあると指摘する。

1. 走行距離への不安
2. 充電環境
3. 価格

これらをみてみると、いずれもエネルギー源がバッテリーであることに起因する。

EVを批判する声の中には、充電に時間がかかること、また走行距離が1000kmに到達しないことを指摘するものも見られる。

しかしこうした指摘について、池畑氏は顧客の意外な反応を目にしているという。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事