BYDが日本市場で進める緩やかな電動化戦略とは。バッテリー技術30年の知見を活かした独自アプローチ

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自社の強みであるバッテリー技術とのシナジーを活かした自動車は、2008年にリリースしたプラグインハイブリッドだったという。また2012年には深圳でEVバスを導入するなど、商用車、バスの電動化に力を入れてきた。

「2020年のパンデミックにより国境が閉鎖される中で、中国国内で次世代自動車への転換が進められます。これによって、バッテリーカー(プラグインハイブリッドと電気自動車)のクルマ作りで急成長を遂げてきました」(池畑氏)

その中で重要な技術となったのが、「ブレードバッテリー」だ。

100%充電でも劣化が少なく耐久性の高いLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーを板型にし、シャシーに敷き詰める。これにより、安全性、排熱性などを高め、車内スペースの最大化にも寄与している。

「どうやって乗せたら一番良いのか?という研究の結果生まれた、ブレークスルーでした。BYDは30年近くにわたるバッテリー研究の知見を活かし、優れた温度管理システムを構築しています。

バッテリーっていうのは何が得意で、何が不得意なのか?という特性がきちんとわかっており、最適温度での充放電で高いパフォーマンスを発揮するよう、温度管理システムが相当進んでいる」(池畑氏)

緩やかな電動化を後押しする

BYDは2025年に100店舗を目指すとの目標を掲げて、日本国内の販売網の拡大を進めてきた。そうした戦略の中で、池畑氏はフォルクスワーゲン グループ ジャパンからBYDに移った、日本市場における外国車マーケティングを熟知している人物でもある。

そんな池畑氏が驚くのは、BYDの開発スピードだ。

「BYDの自動車開発のスピードは驚異的です。オールドスクールの自動車開発にかけてきた時間と、本当に違うのです。どんどん改善が進みますし、バッテリーの搭載方法も2年単位で見直しが進んでいるんです」(池畑氏)

そんなBYDの高速な開発速度に対して、市場の変化を緩やかに進行させる懐の深さも見せる。

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