地震報道で話題「悪石島」での暮らしはどんなものか→銀行も病院も飲食店もない、島民《全員顔見知りの島》で小学校教師が暮らした5年間

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「むしろ今までできなかった教育や、子どもたちがやってみたいと言ったことを思い切り学べる環境でした」と懐かしそうに振り返る。

例えば、総合学習での「地域のためにできることを考える」取り組みの際は、生徒たちと一緒に地元民憩いの場である湯泊温泉の老朽化問題に取り組んだ。

設備のどこが老朽化しているのか、何が必要でどこを直せばよいか、そして島民たちは何に困っているのかを調べて解決策を考える。その内容を島の自治会に子どもたちがプレゼンテーションして、クーラー設置や内装代(ペンキ)の予算を付けてもらい、温泉をきれいに直すことができた。

プレゼンの様子(画像提供:片野田隆紀)
悪石島の小学生たち
温泉の内装を手掛ける小学生たち(画像提供:片野田隆紀)

「クーラーが付いて、内装がきれいになったことで、島民が入浴後にのんびりくつろいでから帰れるようになりました」

子どもたちが作った悪石島のガイドブック
片野田家の双子の長男・楽君、次男・奏君で共同制作した「悪石島のガイドブック」。島を歩き、島民に話を聞きながら制作された(筆者撮影)

巨大イカを素手で捕まえる漁師

多くの島民が、片野田一家の慣れない島暮らしを何かと気にかけてくれた。

その中のひとりが有川和則さんだ。5人で暮らすには手狭だろうと、すぐにコンテナを手配して家の前に置き、物を置く場所を作ってくれた。

片野田さんにとって、和則さんは「師匠であり父親のような存在」だという。

連日の悪石島の避難報道でも何度か名前が出ている和則さんは、島では凄腕の漁師としての顔を持つ。片野田さんの趣味は釣りで、和則さんは漁に出る際に何かと片野田さんを誘うようになった。

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