地震報道で話題「悪石島」での暮らしはどんなものか→銀行も病院も飲食店もない、島民《全員顔見知りの島》で小学校教師が暮らした5年間

悪石島への交通手段は週2便のフェリーのみ。深夜の11時に鹿児島港を出発して、通常は翌日9時に到着するはずが、この日は2時間遅れで11時に悪石島に到着した。
初めて島の姿を見た時は、断崖絶壁がそびえて、人の気配をほとんど感じさせない佇まいに、「果たしてここで3年間やっていけるのか……」と不安になった。
島では教員用の住宅が用意されていたが、単身者や家族2名での赴任が多いため、5人暮らしにはかなり手狭だったという。到着日から家の中を縦横無尽に走り回る巨大なネズミと目が合い「ネズミの洗礼」を受けた。

銀行も郵便局もない!給料は現金支給
2017年の赴任当時、島には銀行、郵便局、保育園、ガソリンスタンド、売店がなかった。もちろん飲食店などないし、病院もない。島の人口は2015年の統計では79人とあるが、実際に島に住んでいる人の数は60ほど。お互いが全員顔見知りの土地柄である。
島内ではお金を下ろせないため、片野田さんの給料は5万円だけ封筒入りの現金で渡された。(残りは銀行振込)現金の使い先はガスボンベ代金の支払いのほか、フェリーチケットの購入くらいだ。
「お金を使う所が全然ないので、5万円あれば足りるだろうということで……」
食料は生協コープかごしまの配達が基本。週2便のフェリーで届くが、台風やシケで遅れると中の食料が腐ってしまっていることも。島民の多くは家に業務用の冷凍庫を持ち、食料を備蓄している。
引っ越しの翌々日は、もう新学期が始まった。赴任当時、島の小中学生は9人。授業は家庭教師のように付きっ切りで行える。
その前の年は全校生徒300人くらいの規模の学校で教鞭をとっていた片野田さん。カルチャーショックはなかったのだろうか。
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