「1秒でも早く脱ぎたい!」グンゼ『アセドロン』猛暑のインナーを変えた新機能… 200万枚突破、大ヒットのワケ
この糸でつくった生地は素早く汗を吸い、肌離れがよくなったが、ここからが正念場。
「素材開発では延べ100パターン近くの素材の組み合わせを試作し、自社ラボにある人工気象室での商品の体感試験も100回以上実施。圧倒的な価値の創出を目指す中で、2023年9月の新商品展示会(小売店のバイヤーなどを招待して開催する翌年春夏シーズン向けの新商品)直前にギリギリで間に合い、狙った通りの機能性となりました」(同)
「機能性」に対する消費者の声はシビア
筆者はさまざまな企業の開発現場を取材してきたが、かなり前から「日本の亜熱帯化」という言葉を聞くようになり、近年は「熱帯化」が近いとすら感じる。
猛暑における消費者の着心地ニーズはどう変わってきたのか。日和氏は、
「商品購入の選択肢において『機能性』の優先度が高まり、今や機能性が一番の選択順位だと感じています。そのため消費者の実感値は相当シビアになっており、自分にとって“コスパが高くていいもの”と確信できる商品が選ばれる傾向にあります」と振り返る。
『アセドロン』に関しても好評の声が多い中、「思ったほど汗がドロンとしない」という指摘もあれば、こんな率直な感想も寄せられていた。
「透湿性・速乾性は高機能スポーツウェアに近いが価格は1/3以下、綿生地より洗濯乾燥も早くメンテナンスもラクです。改良点としては、夏用のシャツの着丈は短めがいい」
こうした声は商品の進化として大切だろう。マーケティングの現場では「生活者インサイト」(本人が気づいていない潜在的な欲求やニーズを探り出す)という言葉をよく聞く。それも大切だが、いつの時代も「不満あるところにビジネスあり」なのだ。
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