シャープの鴻海グループとの資本・業務提携はポジティブだが、信用力が急激に改善する可能性は低い《ムーディーズの企業分析》

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 シャープはSDPの株式の46.5%を鴻海グループに譲渡することで、660億円の現金を受け取る予定である。また、本件が完了した後、鴻海グループはSDPが生産した大型液晶パネルおよび液晶モジュールを最大50%まで引き取る義務を負うことになっている。

世界最大級の電子機器のOEMメーカーである鴻海グループは、シャープの大型液晶パネルおよび液晶モジュールを用いて、同社の顧客向けに大型液晶テレビおよび液晶モニターを製造する計画としている。SDPが保有する堺工場は世界で唯一の第10世代液晶パネル工場であり、60インチ以上の大型液晶パネルの製造における高いコスト競争力を有している。

加えて、鴻海グループは、シャープの第三者割当増資を引き受け、同社に約669億円出資する予定である。この結果、鴻海グループは、シャープの普通株式の発行済み株式総数の9.9%を占める筆頭株主となる見込みである。

ムーディーズは、今回の提携による大型液晶パネルの外販増加によって、シャープが大型液晶パネル事業の営業赤字を縮小することができると考えている。同事業は現在、連結売上高(セグメント間取引消去前)の約12%を占めている(12年3月期の業績予想に基づく)。

大型液晶パネル事業の赤字は、シャープ全体の収益性低下の大きな要因の1つとなっている。同事業の赤字もあり、シャープは、11年3月期に2.6%であった連結営業利益率が、12年3月期には約0%に減少すると予想している。

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