シャープの鴻海グループとの資本・業務提携はポジティブだが、信用力が急激に改善する可能性は低い《ムーディーズの企業分析》
今回の提携によって、シャープは1300億円超の現金を13年3月期に得る見込みである。この金額は11年12月時点の有利子負債残高の10%超に当たる。しかしながら、シャープは、新株式の発行によって得られた現金については、有利子負債の返済ではなく、液晶パネル事業向けの投資に使用するとしている。また、SDPの株式売却収入の使途についてはコメントしていない。
ムーディーズは、仮に今回の取引によって得られる現金を有利子負債の返済にすべて充当したとしても、13年3月期に調整後有利子負債対EBITDA倍率を2.5倍以下に減らすのは難しいと考えている。ムーディーズは、11年3月期に2.9倍であったシャープの調整後有利子負債対EBITDA倍率は、12年3月期には4倍を超えると予想している。
ムーディーズは、今後も今回の提携に関連する動きを注視していきたいと考えている。特にムーディーズは、今回の提携によるシャープ全体の収益性やレバレッジへの影響に注目している。また、SDPに対するシャープの持ち分が減少することによる影響も分析していく予定である。
(写真は3月27日の会見後、記者団の質問に答えるシャープの奥田隆司・新社長)
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