シャープの鴻海グループとの資本・業務提携はポジティブだが、信用力が急激に改善する可能性は低い《ムーディーズの企業分析》

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 しかしながら、ムーディーズは、大型液晶パネル事業の営業赤字縮小は見込まれるものの、それだけでは、現在の格付けに適合した水準まで、同社全体の収益性とレバレッジを改善させるのは難しいと考えている。ムーディーズは、現在の格付け水準にふさわしい財務水準として、たとえば、連結営業利益率で3%超、調整後有利子負債対EBITDA倍率で2.5倍以下を想定している。

13年3月期のシャープの連結営業利益率は、今回の提携もあり改善することが予想されるが、AV・通信機器事業(12年3月期の連結売上高〈セグメント間取引消去前〉の約37%)や太陽電池事業(同、約7%)といった他の主力事業の収益を大幅に改善しないかぎり、3%を下回る可能性が高いであろう。

成長が見込まれる中小型液晶パネル事業(同、約15%)の収益に関しても、Samsung Electronics Co.,Ltd.(A1、安定的)やLG Electronics Inc.(Baa2、ネガティブ)との競争が厳しくなってきており、不透明感が高まっている。

加えて、従来は主に自社の大型液晶テレビ向けに使用されていた大型液晶パネルの外販が拡大することで、シャープの大型液晶テレビの販売および収益性に悪影響が出る可能性もあろう。

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