DX化で「自前教育」では立ちゆかない新しい学校のかたち。ICTのノウハウ、人的リソースを持つ企業参入が不可欠な理由
そうはいっても、現代の教育を考える際には学校教育のDXとそれに伴う市場化は先述の理由で免れないと考えられます。
あくまで公教育の本質的意義を先述の理由で変えることなく、それを支える環境をDXによって高度化させるために市場の論理を用いるという線引きが重要なのではないでしょうか。
ユーザーにとっては企業の競争原理が働くことで、より安く、よりよい製品を利用できるため、結果としてよりよい公教育が実現されるという側面があるからです。
あらためて「公教育」とは?
市場化が進む公教育について考える上で、そもそも「公教育」とは何を意味するのかを確認しておくことも重要です。
「公教育」と聞くと、学校教育を思い浮かべるのではないでしょうか。
ですが、実は「公教育」は、学校教育だけを指すものではありません。文部科学省の英語表記は「Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology」であり、社会教育・文化・スポーツ・学術・テクノロジーなど幅広く含んでいます。
一般的に、法制度にもとづいて運営されているものを「公教育」と呼びます。「教育行政」と呼ばれる行政機関が、さまざまな法律に定められた事項にもとづいて「公教育」を運営しています。
「公教育」には大きく分けて2種類あります。「学校教育」と「社会教育」です。
学校教育は、日本国民であれば全員が経験するものなので、イメージしやすいのではないでしょうか。
多くの人が卒業した「学校」は国・地方公共団体・学校法人によって設立された学校です。これは学校教育法第1条に該当する学校として「1条校」と呼ばれます。その設置者は、教育基本法第6条によって国・地方公共団体・学校法人に限定されています。
少しややこしいですが、これらの学校には、公立の学校も私立の学校も含まれます。
学校教育に関する主な法律は「学校教育法」と「教育基本法」が挙げられます。
主だった点を取り上げると、学校は、おおむね3つに分けられます。
1つ目が学校教育法1条に定められる学校(幼稚園から大学までの8種類)、2つ目が専修学校と各種学校です。最後に学校教育法以外の法律に規定されている学校(保育所や防衛大学校など)です。
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