DX化で「自前教育」では立ちゆかない新しい学校のかたち。ICTのノウハウ、人的リソースを持つ企業参入が不可欠な理由
このようなDXがいま学校で進行しています。
学校におけるDXは、情報革命によって社会が大きく変容しているのと同じように、学校のあり方を再定義するような抜本的な変化をもたらすと考えられます。
そのような新たな学校教育を実現するには、これまでの教員が持っていたものの、延長線上にない専門性が求められることになります。
学校現場のDXに不可欠なこと
学校現場でDXを実現しようとすると、教員がやらなくてはいけないことと、自分たちだけの力ではできないことが増えていきます。現在の教育現場では、多忙化がひとつの問題になっていますが、これは高度化・複雑化を進めるにあたって生じる構造的な課題だといえます。
この課題を解決するためには、「学校自前主義」から脱却し、ICTをはじめとした技術やノウハウ、人的リソースを持つ企業と学校が連携し、新しい教育環境をつくっていく必要があります。
公教育では「GIGAスクール構想」という学校のデジタル基盤構築という事業が進んでいます。このGIGAというのは、データ容量を示すGB(ギガバイト)ではなく、「Global and Innovation Gateway for All」の略です。
これは単なる学校教育のデジタル化にとどまらず、公立学校のなかで、ひとり1台の端末と高速ネットワーク・クラウド環境を整備し、誰ひとり取り残すことなく学校をグローバルに開いていこうとする事業です。
DXを進めるには、さまざまな事業者の力を借りる必要があります。なぜなら、学校だけでは、ネット回線を引いて通信環境を整備・維持することも、PCなどの学習端末を製造することも、端末で学ぶコンテンツを準備することもできないからです。
したがって、さまざまな領域のプロフェッショナルである企業が、学校現場に参入していくことになるでしょう。
アナログでおこなわれていた際にはかからなかった諸費用が発生します。こうなると、公教育の市場化が広がることが予想されます。
実際に世界のEdTech(エドテック)市場規模は、2019年の17兆円から2025年には38兆円に達し、国内では2000億円から3200億円に増加するという試算が出ています。
EdTechとはEducationとTechnologyを掛け合わせた言葉で、その名の通り、テクノロジーを用いて教育活動を向上させる製品やサービスを指します。
公教育は根本的には市場の論理で扱えるものではありません。市場化が進む公教育に警鐘を鳴らす識者がいるのも事実です。
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