《AI時代に響く営業術》書籍PRのプロと文芸評論家・三宅香帆さんが語る。相手の心に"刺さる"伝え方、「定型崩し」と言語化の極意
黒田:この3つの視点から、担当する本のいいところをいつも探しているんです。少なくともどれか1つの視点で提案できない限り、相手の心には絶対に届かない。単なる商品説明になってしまうんですよね。
なかでも一番簡単なのはやっぱり「自分の体験との共通点を探す」ということです。なぜなら、本の通りに自分がやってみればいいから。

三宅:本を読んでから料理を作ってみる、とか。
黒田:そうです。エクササイズの本だったら実践してダイエットしてみたり、ランニングの本だったらフルマラソンを走ってみたりします。
三宅:商品の良さを言語化する、という意味では、売りたいものは本以外でもいいわけですよね。
黒田:例えば保険のセールスマンだったら「実は自分がなんで保険のセールスマンになったかっていったら、自分の母が昔、体を壊して困ったときに……」みたいな自分の体験に紐づけてセールスしたい商品のよさを伝える。それが「自分の体験との共通点を探す」言語化ですよね。
三宅:めちゃくちゃ分かります。
黒田:「自分の提案が全然通らないな」「自分の言葉が相手に届いていないな」というときは、商品の説明になってしまっているんです。それに気づいたら、この3つのどれかで提案できているかに必ず立ち返るようにしています。
どうやってメディアに取り上げてもらうか
三宅:テレビが求めている現象を探すとき、取り上げられやすいものをどうやって見つけるんですか?
黒田:僕の場合は聞きます。つまり、打ち合わせの中で、メディアの人に「今、どんなネタが必要ですか?」って聞きまくるんです。そうすると「困ってるんですよ。こういうのを探してこい、って言われて」って答えが返ってきたりする。そこで、それに応える本のネタを持っていく。
三宅:相手が求めているものをこちらが言語化するんですね。相手も「自分が求めているものが何なのかがぼんやりしてる」みたいな状況があるわけですし。 "代わりの言語化"が求められているんだ、ということは、どこで気づいたんですか?
