《AI時代に響く営業術》書籍PRのプロと文芸評論家・三宅香帆さんが語る。相手の心に"刺さる"伝え方、「定型崩し」と言語化の極意

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黒田:この3つの視点から、担当する本のいいところをいつも探しているんです。少なくともどれか1つの視点で提案できない限り、相手の心には絶対に届かない。単なる商品説明になってしまうんですよね。

なかでも一番簡単なのはやっぱり「自分の体験との共通点を探す」ということです。なぜなら、本の通りに自分がやってみればいいから。

黒田さん
黒田 剛(くろだ ごう)/書籍PR。1975年、千葉県で「黒田書店」を営む両親のもとに生まれる。須原屋書店学校、芳林堂書店外商部を経て、2007年より講談社にてPRを担当する。2017年に独立し、PR会社「株式会社QUESTO」を設立。これまでPRを手がけた本には、累計150万部『つかめ!理科ダマン』(シン・テフン)シリーズ、累計70万部『妻のトリセツ』(黒川伊保子)シリーズなど。著書に『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(講談社)(写真:松井雄希撮影)

三宅:本を読んでから料理を作ってみる、とか。

黒田:そうです。エクササイズの本だったら実践してダイエットしてみたり、ランニングの本だったらフルマラソンを走ってみたりします。 

三宅:商品の良さを言語化する、という意味では、売りたいものは本以外でもいいわけですよね。

黒田:例えば保険のセールスマンだったら「実は自分がなんで保険のセールスマンになったかっていったら、自分の母が昔、体を壊して困ったときに……」みたいな自分の体験に紐づけてセールスしたい商品のよさを伝える。それが「自分の体験との共通点を探す」言語化ですよね。

三宅:めちゃくちゃ分かります。

黒田:「自分の提案が全然通らないな」「自分の言葉が相手に届いていないな」というときは、商品の説明になってしまっているんです。それに気づいたら、この3つのどれかで提案できているかに必ず立ち返るようにしています。

どうやってメディアに取り上げてもらうか

三宅:テレビが求めている現象を探すとき、取り上げられやすいものをどうやって見つけるんですか?

黒田:僕の場合は聞きます。つまり、打ち合わせの中で、メディアの人に「今、どんなネタが必要ですか?」って聞きまくるんです。そうすると「困ってるんですよ。こういうのを探してこい、って言われて」って答えが返ってきたりする。そこで、それに応える本のネタを持っていく。

三宅:相手が求めているものをこちらが言語化するんですね。相手も「自分が求めているものが何なのかがぼんやりしてる」みたいな状況があるわけですし。 "代わりの言語化"が求められているんだ、ということは、どこで気づいたんですか?

三宅さん
三宅 香帆(みやけ かほ)/文芸評論家。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 』『12歳までに身につけたい 自分の「好き」をことばにできるノート』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数(写真:松井雄希撮影)
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