
スピノザ『エチカ 倫理学』畠中尚志 訳/岩波文庫
なんとなく居心地の悪さを感じながら僕は生きている。まあ、社会も他人も、僕のためにできているわけではないので、こればかりは仕方ない。日々、豊富とはいえない社会性を振り絞り、何とかかんとか折り合いをつけて暮らしているのだが、どうしても居心地の悪さが澱(おり)のように積もってきてしまうときがある。
そんなときに僕は古典──とくに哲学書を読む。哲学の古典というと昔に書かれた頭のいい人の本で、時代も違うし、難しくて何を言っているかわからないし、役に立ちそうにもない、と思う人が多いだろう。そのことはまったく否定しないが、2つだけ強調しておきたいことがある。
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