「世代で若者を論じることに意味がない」。そう断じる前に知ってほしい「一般化」の本当の意味

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若者恐怖症――職場のあらたな病理
若者を語るとき常につきまとう問題がある(写真:kouta/PIXTA)
「世代で若者を語るな、人それぞれだ」。それは一見、賢明な意見に聞こえる。だが、本当にそうだろうか。本記事では、東京大学大学院・舟津昌平氏の新刊『若者恐怖症――職場のあらたな病理』から抜粋、再編集し、「一般化」の本当の意味を解説する。

一般性に欠けている!?

個別化に類する意見として「一般化」に関するものがある。ある若者(集団)について特徴や生態を語ると「たまたまあなたの周囲にいた特定で少数の誰かを一般化している」「誤った一般化だ」と反論が飛ぶ。

たとえば「トー横キッズ」という集団が令和において特異なものとして語られる。しかし当然、同世代の全員がトー横キッズではない。だいたいの若者は家出もオーバードーズもしていない。仕事に悩むOLが全員ストロングチューハイに溺れてはいない。だから「間違った一般化をするな」というわけである。

この「一般化問題」は、別に一般化を問題としないときに持ち出されることも多い。トー横キッズについて丁寧に取材し記述した文献があったとして、別に若者全体への一般化を目的にはしておらずとも「特例であって一般的でない」と言っておけば知的な批判感がある(?)ので便利(?)なのかもしれない。中身も論じないままいきなり比率の話をする人は結構ヘンというか、何を目的にしているのか不思議ではある。

ただ一般化問題は、よく考えるほど複雑な問題である。

この問題を持ち出す方はどうやら「比率」を問題としている。Z世代の特徴として挙げられる特性に実際に当てはまるのは数%にすぎないとか言いたいわけである。でも一般性を持ち出すわりに、では何割が当てはまっていれば一般的なのかという問いにはほとんどの人が答え得ない。「うーん…9割くらいじゃない?」。

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