「世代で若者を論じることに意味がない」。そう断じる前に知ってほしい「一般化」の本当の意味

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さて、若者を語るとき常につきまとう問題がある。現代の若者に限定されないとか、特定のサンプルに偏っており一般的でないとか、人それぞれだとか、そういう批判である。批判側に十分なリテラシーがないことも多いものの、答えるべき本質的な問いではある。

多少回りくどくてもこういう「都合の悪い問題」には答えておきたい。本当に「Z世代は存在しない」のか。

ネクタイの一般性

例として「ネクタイ」を思い浮かべてほしい。本書の読者がいかに多様であってもネクタイを知らない方はおそらくいないはずだ。では「ネクタイは一般的だ」と言われたらどう思うだろう。語の繫がりとして変な文に読めるかもしれないが、そんなに違和感はないはずだ。ネクタイは誰でも知っていてどこでもみられるという意味で一般的である。

じゃあ「実際にネクタイをしている人の比率」はどうだろう。現代日本においてネクタイをする人のほとんどは男性である。性別で区分すれば、人口のほぼ半数以下しかネクタイをしていないと予想できる。

「たまに女子学生が…」というご意見をもらったことはある。確かに制服がネクタイ指定のこともある。とはいえ全人口比で見ればネクタイをしている女子学生は多くはない。

さらにクールビズやビジネスカジュアルなどの広がりでネクタイをしない社会人も増えている。産経新聞による2018年の調査では「ほとんどつけない」や「顧客や外部の人に会うとき以外は着用しない」という回答が8割超を占めたようだ。

スーツ姿の男性に訊いたそうなので、男女比をふまえると全人口のざっくり1割もネクタイをしていないという推論は可能である。

では「日本のビジネスパーソンはネクタイをしている」と言ったら誤りだろうか。「服装が多様化する社会においてネクタイをするという決めつけが誤り」「特定のサンプルを一般化している」「人それぞれなのだから誤り」なのだろうか。

逆に言えば、もはや全人口の1割程度しかネクタイをしていないであろうにもかかわらず、なぜわれわれは「ネクタイの一般性」を認識できるのだろうか。

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