【産業天気図・スーパー/コンビニ】消費者の財布のヒモは固く、07年度も曇り空
スーパー・コンビニ市場は縮小傾向が続いている。景気回復による内需拡大の期待もあるが、現場からは回復の声はほとんど聞かれない。定率減税の廃止に加え、消費税の引き上げや年金問題など先行き不安要素が多く、消費者の財布のヒモは簡単には緩みそうにない。業界には少子高齢化・人口減という構造問題も横たわっている。天気予想は前半、後半とも「曇り」。
スーパー業界では06年度全店ベースで3年連続、既存店では10年連続の前年割れに終わった。07年に入ってもマイナス基調が続く。さらに今秋の郊外出店規制の強化(まちづくり3法改正)を前に各社の出店は高水準で、供給過剰の状況は解消されていない。イオン<8267.東証>やセブン&アイ・ホールディングス<3382.東証>傘下のイトーヨーカ堂をはじめ、主要各社はおおむね増益を見込むが、既存店売り上げの弱含みを仕入れの改善や経費削減でカバーする構図が続く。営業力によって企業間格差が広がりそうだ。業界再編の機運も残る。ウォルマート主導の改革が正念場を迎える西友<8268.東証>や、地方の食品スーパーによる合従連衡などが焦点となるだろう。
コンビニ業界は全店ベースでは伸び続けているが、既存店は7年連続前年割れと、歯止めが効かない状況だ。06年度は上場コンビニ8社のうち6社が営業減益に陥った。個人消費の回復が鈍く、客単価が低迷しているのも一因だろう。国内の店舗数は4万店を突破し、出店競争は飽和状態を迎えている。さらにはスーパーや弁当・総菜チェーンをはじめとする他業種との競争激化もあり、大手チェーンでも退店数が出店数を上回るなど、市場環境は熾烈を極めている。
07年度も業績回復は望めそうにない。セブン&アイ傘下のセブン−イレブン、ローソン<2651.東証>、ファミリーマート<8028.東証>、サークルKサンクス<3337.東証>の大手4社でも営業微増益がやっとの状況。中堅・ローカルチェーンとの格差は広がる傾向にあり、業界再編の可能性も残るだろう。
コンビニ業界では若年男性中心であった顧客層の拡大が求められている。各社とも女性やシニア層の顧客開拓に向け、生鮮を取り扱う店舗や、「できたて・焼きたて」を売り物にした新商材開発を加速させている。既存店のテコ入れ策と、客層拡大をいかに図っていくかが企業業績を伸ばすうえでの重要なポイントとなりそうだ。
【並木厚憲記者】
(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部
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