「パンダ見たいなら中国に来るべき」との声も…。返還続く《日本暮らしのパンダ》。私たちの愛する「白黒のモフモフ」は、いつ日本に戻るのか?

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1980年代初頭まで、中国はパンダを各国への「贈り物」として提供していた。1984年、ワシントン条約の締結により、絶滅危惧種のパンダの譲渡は原則禁止になった。

現在、パンダの年間レンタル料は1頭あたりおよそ7000万〜1億5000万円にのぼるとされる。飼育・繁殖技術の中枢も中国にある。パンダは今なお、中国外交の「顔」であり続けているのだ。

パンダ
パンダは今なお、中国外交の「顔」であり続けている(提供:北京パンダ萌大ファン後援団)

北京動物園で暮らすパンダ・萌大(11歳)

先日、筆者は北京でパンダのボランティア活動に取り組む由佳さん(30代)を取材した。

日本生まれの中国人である彼女は、両親の仕事の関係で日中を行き来しながら育ち、今では日中文化交流活動、野生動物の保護などに力を注ぎ、北京市帰国華僑連合会の理事を務めるなど、地域にも根差した活動を続けている。北京市から「最優秀五つ星ボランティア」にも選ばれた。

萌大
由佳さんが心を寄せる「萌大」(提供:北京パンダ萌大ファン後援団)

北京動物園には現在10頭のパンダが暮らしている。それぞれに熱心なファンがついているが、由佳さんが心を寄せるのは11歳のオス、「萌大(モンダ)」だ。

「美男美女」パンダが揃う中で、萌大は特別目立つ存在ではない。由佳さんは穏やかに言った。「どのパンダも、等しく、やさしく見守られるべきだ」。

2024年6月、由佳さんは「北京パンダ萌大ファン後援団(北京大熊猫萌大粉丝后援团)」を設立し、団長に就任。現在、会員は約100人で、そのうち10人ほどは北京に暮らす日本人ファンだ。

夏の昼下がり、多くのパンダが食後すぐに部屋で眠ってしまう中、萌大だけは違う。来園者の気配を感じると外に出て、木に登り、姿を見せてくれる。そのひたむきな姿に、由佳さんは愛情を込めて語る。「彼はずっと黙々と努力してきた。特別なかわいさがある」。

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