地域活性化O2O「コロプラ」成功の秘密《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
提携店からは、初期費用は取らず、コロカのシリアル番号入力につき、2ケタパーセントの売上手数料を取るのみ。提携店とコロプラとのオリジナルコラボ商品も続々と開発されている。
コロプラは、提携店の上限数を全国で200店までと決めている。提携店を増やしすぎるとユーザーが移動する楽しみが減ってしまうからだ。1県で約4店舗を目安としており、提携を望むお店にとっては実に狭き門だ。
全国から寄せられる提携店への申し込みや問い合わせは、月に300~400件にも上るという。しかし、実際に提携するのは、毎月約1パーセント弱の2~3店のみだ。
提携店を決めるために毎月行われる試食会には、社員全員が参加する。総勢約100人の舌で試食をして、評価、集計し、時間をかけて厳選する。匿名で社員が現地の店に視察をすることもある。
さながらミシュラン。
経営企画部マーケティングチームマネージャーの天野洋介氏は話す。
「旅費をかけてでも訪れるべき、本当にいいものを提供している店を厳選している。ユーザーが行ってみてがっかりしてほしくない。素敵なものであってほしい。商品だけではなく、土地、空気感も含めてだ。それが移動する、旅をする、楽しみにつながる」
毎月恒例の新提携店の発表日は、ユーザーがいちばん心待ちにする瞬間だ。ユーザーは、発表日初日と次の土日に新提携店に必ず訪れる。
離島も含めた全提携店のうち、これまで初日に1人もユーザーが訪れなかったのは、種子島の1店舗のみだ。それも当日種子島に到着する飛行機がなかったので翌日にならざるをえなかったことが理由だという。
コロプラは、むやみに提携店を増やすことよりも、ユーザーを満足させることを第一に考えてきた。これが大きな成功の秘密だ。
O2Oのビジネスモデルは、普通、広告費や販促費などの手数料収入を得ることを目的としている。しかしコロプラのO2O事業は違う。ユーザーがゲームで移動する楽しみに付加価値を与えることを考えるところから始まっている。