【小川町】埼玉で移住希望者が1番多いワケは? 都心まで70分、"ゆる移住"が叶う「ちょうどいい田舎」の秘密

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「当時、移住者で店を開いた人がいなかったんです。そういう意味で手を取り合う仲間が少なくて。町の人たちに溶けこむのにとても苦労しました」

「curry&noble強い女」外観
商店の跡地をリノベーションしてオープンした「curry&noble強い女」。隠れ家のような店内は、アンティークな雰囲気のテーブルや椅子がそろい、一人客も落ち着いて過ごすことができる。扉を開けるとぶわっとスパイスの香りが包みこむ(写真撮影/栗原論)

次第にメディアや口コミ、SNSで注目され、遠方からもお客様が足を運ぶように。お店も営業が順調になった2022年ごろ、「代々木原さんのように」と移住に興味を持ち、この地へ店を開きたいと思う仲間が増えてきました。SNSを通じて代々木原さんに相談を持ちかける人も多いそうです。

「相談をしてくれる人は勇気ある一歩を踏み出そうとしています。でも想像だけではやっぱり簡単に引越しはできない。まずはやってみて、それで違うなと思ったら考え直す。そのくらいの気持ちでも良い気がします」と挑戦する面白さを話してくれました。

元“シモキタ”のカレー店店主も小川町に移住

同じくカレー店を営む「小川ぐらしの茄子おやじ」阿部孝明(あべ・たかあき)さん。下北沢のカレー食堂「茄子おやじ」と聞けばピンとくる人もいるかもしれません。

1990年、33歳のときに自身の愛称「茄子おやじ」を屋号に開業しました。“シモキタ”に現存する最古のカレー店として26年ほど、下北沢カレーフェスティバル開催に関わるなど、“シモキタカレー文化”をリードしてきたのです。

「小川ぐらしの茄子おやじ」外観
小川町駅から5分ほどの場所にある「小川ぐらしの茄子おやじ」。開店後、近隣に飲食店が増えて、小さな商店地域となりつつある(写真撮影/栗原論)

阿部さんが還暦を迎えた2016年のこと。スタッフに下北沢の店を譲って引退し、ご両親の住む小川町へ移り住みました。

暮らしていた世田谷から小川町に移住した当初、寂れた町の様子から再びの開業はないと思っていた阿部さん。そんな折に町内にある有機野菜食堂「わらしべ」の移転に伴い、空き店舗が生まれました。

空き店舗のことを知った阿部さんは、カレー店の再開へ向けて舵を切ったのです。町の空き店舗補助金を得てオープン準備を進め、2019年3月3日「小川ぐらしの茄子おやじ」を開店。ご両親の見守り、介護、看取りをしながら店を経営し、2025年現在で7年目になります。

ほぼ全部のせスペシャルカレー
一番人気のほぼ全部のせスペシャルカレー(1500円)肉のうま味、野菜の甘み、スパイスの風味プラス小川野菜(写真撮影/栗原論)

阿部さんにとって小川町の家はあくまでご両親の家であり、自分の実家だとは感じないよう。でも実際に暮らしてみると、空が広く、山が視界に入り、鳥のさえずりが聞こえる日常が当たり前になっていったそうです。

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