「日本はもういいかな…」年収3億円の親日家が語る、中国≪超富裕層≫が訪日を“卒業”したワケ
コロナ後、SNSには「日本は安くて住みよい」といった内容の投稿が増えた。それらに惹かれて来日する人も増え、その結果、コンビニやコンセプトカフェ、バズるパン屋や駅で写真を撮ることで満足する中国人観光客が多く、高級品の購買やリピートにつながる文化体験をする人は少ない。
「日本はもういいかな」という富裕層のホンネ
では、日本が1番欲しがっている高付加価値旅行者はどこに行ったのか。なぜ来なくなったのか。
2014年から追跡調査している女性Aさんは典型的な例だ。20代半ばで夫と弁護士事務所を経営し年収2億程度だったAさんは、今は30代で2人の子どもを持つ。中国経済はよくないが、今までの努力と大家族の人脈のおかげで年収が3億円を超え、順調にやっている。
2019年まで、筆者は年に4、5回、彼女が日本に来たときに会い、随行調査やデプスインタビューをしていた。しかしコロナ後、彼女と会ったのはわずか2回だけ。しかもいずれも2泊だけの小旅行だった。
奈良で会ったときに、筆者は率直に「なぜ日本に来なくなったの? あんなにファンだったのに」と聞いた。すると「日本が変わらず好きだけど、もういいかな」と彼女は素直に答えてくれた。
なぜこうした心の変化が起こるのか。それは日本以外の国、つまり「競合」の変化によるものが大きい。
コロナ期間中、中国人は海外に行けなくなったが、安全性を証明するコードさえ提示できれば、中国国内の移動は可能だった。したがって、今まで日本や海外で観光を楽しんできた中国の富裕層や若者は、中国国内を観光するようになった。
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