大量閉店“銀座に志かわ”はナゼ140→50店舗に減ったのか?「1000円」でも売れた≪高級食パン専門店≫凋落の必然を社長が激白

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『銀座に志かわ』の「水にこだわる高級食パン(税込1100円)」(写真:筆者撮影)
かつて2010年代後半に、“高級食パンブーム”が巻き起こったのを覚えているだろうか。
食パンが「1本2斤で1000円弱」ーー。暮らしのプチ贅沢や、手軽なギフト需要として、瞬く間に世間に浸透した高価格帯の食パン。一説によれば、最盛期は1000店舗以上の専門店が林立したというが、結局は一過性のトレンドに収束し、各ブランド大量閉店の憂き目にあった。
飲食業界において栄枯盛衰は常だが、高級食パンの盛り上がりはなぜ起こったのか。

600本の食パンが連日完売

コロナ禍の直前ごろ、近所の高級食パン専門店に連日、行列ができていたのを覚えている。朝10時の開店を待ち、休日は多い時で30~40人が焼きたてを求める光景を傍目に見ながら、いささかブームを疑問に感じていた。

1本2斤で1000円弱(価格は当時)と、市販に比べて3~4倍近い値段の食パンが、なぜ飛ぶように売れるのかーー。なかには食パンが入った白無地の化粧箱を、両手に抱える客も散見されたが、大量の食パンを数千円分も購入していると考えれば不思議な光景だった。

『銀座に志かわ』の外観(写真:筆者撮影)

「1店舗で仕込める食パンは、1日で最大約600本、それが連日いたる店舗で完売していた。ブランドを立ち上げた2018年から2021年頃までは、売上も店舗数も右肩上がりで、高級食パンが当たり前に定着したものだと錯覚しそうになった」

ブームの一翼を担った『銀座に志かわ』の親会社、OSGコーポレーション代表取締役の湯川剛氏は、全盛期をそう振り返る。当時『銀座に志かわ』は、税込864円で販売していたため、1日600本売れると考えれば、単純計算で日計50万円を超える。

なぜここまで人々は、高級食パンの虜になったのかーー。

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