「もっちゅりん」がバカ売れのミスド。「辻利」「ゴディバ」「ピエールマルコリーニ」のコラボ商品も話題、新商品で行列を作る戦略の”強さ”
さらにミスタードーナツは、店内で生地から作るためにロスが発生しにくく、余った食材も通常メニューではない「ファンシードーナツ」(例:ハニーチュロ+余りのチョコソースで「チョコチュロス」など)として、無駄なく売りさばくノウハウが完成している。
新商品発売は、店にとっては「新商品目当てで来たのなら、他の味も覚えて帰ってくださいね!」と誘導できる絶好の機会でもあり、ドーナツを選ぶ楽しさを覚えた顧客は、あらたな常連客となる。ミスドの「新商品の発売ごとに顧客をつかむビジネスモデル」は、そう考えるとかなりよくできている。
ライバルは多いのに、なぜ「ミスド」一人勝ち?

それにしても、なぜ「ドーナツといえばミスタードーナツ」なのだろうか?
これまで世界的なチェーンだと、ミスタードーナツ以外に「ダンキンドーナツ」「クリスピー・クリーム・ドーナツ」などが日本進出を果たしている。またセブン-イレブンも2014年からレジ横でドーナツを販売、2024年から「お店で揚げたドーナツ」を展開している。
ドーナツ店の国内市場はここ6年で5割以上も成長する中、ミスドにはライバルがいっぱいいるのではないか? 実際には、日本の市場で継続して戦えているのは、ミスタードーナツだけだ。

その理由としては、「ドーナツやお店を日本ナイズできたこと」であろう。「甘い・大きい」モノが多いアメリカのドーナツに対して、ミスタードーナツは「甘くない・小さい」といった日本人向けのドーナツを開発、定着させてきた。
ミスタードーナツは、1983年に「ミスタードーナツ・オブ・アメリカ」から権利を買い取ったために、独自で開発商品ができる。代表的商品「ポン・デ・リング」も、日本人ならなじみ深い「お餅のようなモチモチ食感」を狙ったものだ。一方で、日本に進出した「クリスピー・クリーム・ドーナツ」などは、こういった「日本ナイズ」ができなかったからこそ、ブームが去ったあとに衰退に見舞われたのだ。
近年では、アメリカでも健康志向の高まりから、世界最大手のダンキンドーナツでさえ、「甘い・大きい」ドーナツ以外のラップサンドなどを拡充、2019年に屋号から「ドーナツ」の看板を降ろしている(現在の屋号は「ダンキン」)。
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