どこか似た者同士ともいえる「トランプとプーチン」 2人を結びつける《ストロングマン》への強いこだわりとは

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では、そのプーチンとはどのような人なのであろうか。

1952年にレニングラード(現・サンクトペテルブルグ)に生まれ、かつてKGBの工作員として活動していた彼は、エリツィンから信任を受けて1999年に首相となり、同年末のエリツィン辞任にともなって大統領に就任した。

2000年に正式に選挙で選ばれた後、2期8年にわたり大統領を務め、任期制限により一時は首相に転じたものの、2012年には3期目の大統領に返り咲き、2021年、憲法を改正して大統領の任期延長を実現、現在も大統領の座に居続けている。

〈私は独自のルールを持っている。そのひとつに、けっして後悔するなというものがある。(……)後悔したり、過去を振り返るようになると、すぐにだめになる。つねに将来のことを考えていなければならない〉(N・ゲヴォルクヤン、N・チマコワ、A・コレスニコフ『プーチン、自らを語る』高橋則明訳、扶桑社、2000)

この言葉からは、自信に満ちた強い意志の持ち主であるプーチンの性格が浮かび上がってくる。そして、この強いリーダーとしての側面は、トランプにも共通するものだ。

ともに「ストロングマン」と呼ばれる存在

もっとも、「強い」という言葉には、頼りがいのある守護者という積極的な意味合いと同時に、情報統制によって反対意見を封じ込めるといった支配的な側面も含まれている。

林克明によると、エリツィン末期から始まった政権によるメディア支配は、プーチン政権下で完成したという。

〈エリツィン前大統領の末期からはじまった政権のメディア支配は、プーチン政権になって完成した。具体的には、テレビや新聞の株を政府系企業が独占し、経営を支配。政権がメディア内の人事権にまず介入する。たとえば、ベスラン学校人質事件の直後に、有力紙「イズベスチヤ」編集長も簡単に解任された〉(林克明『プーチン政権の闇 チェチェン戦争/独裁/要人暗殺』高文研、2007)

このようにロシア政府がロシア国内のメディアを完全に支配する体制は、今日に至るまで大きく変わっていない。

実は、トランプが自らを形容するときに頻用される「ストロングマン」という言葉は、欧米ではプーチンに対してもよく使われているのだという。

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