なぜトランプ大統領はここまで強硬にイスラエルを支持するのか…「日本人には理解しづらい」宗教的な背景を探る

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さらに、トランプの家族関係も彼の親イスラエル的姿勢を裏づけている。

長男ドナルド・ジュニア、長女イヴァンカ、次男エリックの3人は、いずれもユダヤ人と結婚している。特にイヴァンカは、ジャレッド・クシュナーとの結婚を機にユダヤ教へと改宗した。そのため、現在いるトランプの孫10人全員がユダヤ人である。

「神の国」において一体化するという信仰

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なぜなら、ユダヤ教の規定によれば、ユダヤ教に入信した者がユダヤ人と見なされると同時に、ユダヤ人の母親から生まれた子どもは無条件にユダヤ人とされるからである。

家族構成の側面からも、トランプがイスラエルとの結びつきを強める構造ができ上がっていることは、否定できない事実である。

日本人にとっては直観的に理解しにくいことかもしれないが、クリスチャン・シオニズムの理解者であるトランプにとって、娘や孫がユダヤ人になったことは、なんら矛盾を感じさせるものではない。

なぜなら、終末においては、キリスト教徒もユダヤ教徒も「神の国」において一体化するという信仰があるからである。

この状況は、あえてたとえるなら、江戸から日光へ向かう際に、表街道を通るのか裏街道を通るのかの違いに過ぎない。

裏街道を選んだとしても、最終的には同じ日光東照宮に到着するのであれば、途中の経路にこだわる理由はない、ということになる。

佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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