“実家じまい”で急増!《人形供養祭》ずらり3000体 その全貌と、大切な人形を手放す人々の思いとは?

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人形の中で最も多くの数を占めるのは、ひな人形と五月人形。加えて兜、破魔弓、羽子板、こいのぼりの布部分といった、節句のお祝い関連のものが多い。さらに、ぬいぐるみ、一体ものの日本人形やフランス人形、陶器の置物などが並ぶ。よく見ると、キジやタヌキの剥製もあって驚く。

「剥製はわりと預かることが多いです。以前、ガラスケース入りのペンギンの剥製を引き取ったときは珍しくてびっくりしました。どこで手に入れたんだろうと(笑)」(石川さん)

引き取り可能な種類は幅広いが、位牌や仏像などの仏様関連、神棚やお札などの神社関連のものは宗派の関係でNGとしている。

キジやタヌキの剥製
キジの剥製や、ゴルフクラブを持ったタヌキの剥製も並ぶ(撮影/今祥雄)

参列者を直撃、母娘で預けた人形に手を合わせ…

人形を預けた申込者は、事前連絡することで人形供養への参列が可能。この日も五月人形とひな人形を預けたというAさん(80歳)とAさんの長女(51歳)が供養祭の見学にやって来た。長男、次男、長女の3人の子どもにそれぞれ人形を用意し、成人するまで毎年飾っていた思い出があるという。

Aさんは花月堂に人形供養に出した理由をこう話す。

「きっかけは子どもたちがいなくなった家の断捨離でした。しまっていたお人形をどうしようかと思ったのですが、子どもへの願いがこもったものですから粗雑には扱えません。感謝の気持ちを込めてちゃんと送りたいと思っていたところ、娘がネットで花月堂さんを見つけて。うちまで人形を引き取りに来てもらいました」

会場に並べられたたくさんの人形を見渡し、「あれがうちのかな」と預けた五月人形を見つけたAさんの顔がほころぶ。

大量の人形たち
会場後方のスペースはぬいぐるみ入りの段ボールで埋め尽くされている(撮影/今祥雄)
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