奈良メガソーラー造成現場で「土砂2度流出」… それでも止まらない開発の行方

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というのも、平群町のメガソーラー造成地で土石流が発生したのは、5月24-25日が始めてではないからだ。昨年11月にも同様の事故があり、事業者は「土砂及び濁水流出の原因と対策」を奈良県と平群町に提出。住民説明会でも「二度と土砂流出が起きないようにする」と決意を述べていた。

しかし、わずか半年の間に起きた二度目の土砂流出。

平群町都市建設課の島野千洋参事は「すでに2回、町道や水路に土砂が流出する事故が起こっています。開発事業者が自ら安全管理をするのが本当ですが、それができていなかったのが事実。開発許可を出した奈良県には、きちっと監視して安全に開発が進むように指導をお願いしたい」と述べた。

奈良県は盛土規制法にもとづく調査や改善命令について、「どう対応するかについては現在検討中です」(建築安全課)とし、「事業者さんの方も今回の土砂流出を深刻に受け止めて対策を行うとしている。我々もその経過状況をきっちり確認させていただくということで、現地の対策の進捗状況の確認をしています」(森林環境課)と話している。

2024年11月の土砂流出直後に椿台の住宅近くの水路を流れ下る濁流(提供:平群のメガソーラーを考える会)
同じ水路の通常の状態(撮影:河野博子)

住民が林地開発許可の取り消し求めた裁判を起こした訳

このメガソーラーの周辺住民が奈良県を相手取り、林地開発許可の取り消しを求める訴訟を奈良地裁で提起したのは、2023年8月。原告住民のうち26人は、下流水路沿いの椿台に住んでいる。

森林に雨が降ると、木の葉や枝に雨水が付着して後に太陽に照らされて空に戻るほか、雨水が木の根や土壌から地下に浸透する。一方、山林を切り拓いて太陽光発電所を作ると降った雨のほとんどが事業地から流れ出ることになる。

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