「わずか2日後に否定」「会見の撮影を許さず」、あともう1つは…フジテレビが「中居騒動」で犯した"広報"での3つの失敗点
そして、被害者と噂された女性が入院生活を写真でインスタグラムに投稿していたことも、フジテレビを窮地に追い込む遠因となりました。若い女性が病院のベッドに横たわりながら、体が自由にならない苦境をインパクトのある写真とともに語る。被害者への同情、そして被害者に十分な対応をしなかったフジテレビへの怒りを掻き立てるものでした。
フジテレビの事例から学ぶ危機対応のツボ
このように初動で多くの失敗を重ねたことに加え、フジテレビの危機対応では重要なポイントが3つありました。
1つめは守秘義務を交わしても、現実の危機管理では大して役に立たないという点です。守秘義務契約など、実際には「お守り」のようなものでしかありません。
『週刊文春』などの記事には「被害者の知人」などさまざまな証言者が登場します。週刊誌に情報を明かしたのは、本当に「被害者から守秘義務契約締結〝前〟に話を聞いていた知人」だったのか、「フジテレビで対応に当たった社員」なのか、あるいは……。真実は、週刊誌の編集部しか知りません。
万が一、被害者本人が守秘義務契約を破って打ち明けていたとしても、週刊誌は記事では絶対に「被害者本人」とは書きません。メディアにとって、取材源の秘匿は最重要とされているからです。守秘義務契約は、週刊誌対策にはほとんど役にも立たないということなのです。
2つめは、名誉毀損などの裁判も週刊誌対策には不十分だという点です。名誉毀損で訴えられたとしても、慰謝料の相場は100万円程度ですから、週刊誌の売上増と比べれば大した額ではありません。つまり、名誉毀損での訴訟も防波堤にはならないのです。
最後のポイントは、高額の示談金が裏目に出たという点です。実際の金額とは異なるようですが、当初の報道では、示談金は9000万円とされていました。破格の金額を中居氏が支払った背景には被害者の怒りを少しでも鎮め、加害が公になるのを防ごうとする気持ちがあったのでしょう。ですが、9000万円という異様な高額は「相場を大幅に超えるほど高額な示談金を支払わないといけないほど、ひどいことをしたのだろう」という世間の心証を形成してしまいました。
いずれにしても、「週刊誌」「SNS」「コタツ記事」「テレビ・新聞」の悪魔的融合に企業が備えようとするなら「法的な対策を取れば大丈夫」では、決してありません。今や「法的な対策は満たすべき最低限の条件」になっているということなのです。
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